ポリマー材料は日常品から工業用品まで幅広く用いられ、強度、透明性、耐薬品性など、製品の目的に応じた様々なポリマーが存在します。手軽に使える反面、環境によっては容易に劣化し様々なトラブルを招く事があります。ここではポリエチレンテレフタレート(PET)の劣化解析例を紹介します。
ポリエチレンテレフタレート(PET)の分解・劣化機構
アルカリ加水分解による劣化

アルカリによってカルボニル基が
攻撃され、ポリマーの分解が進行する

ポリエチレンテレフタレート
(PET)
紫外線(UV)による劣化

UVによってCH-CH2結合が攻撃され水素が脱離し、そこへ大気中の酸素が付加、ラジカルによる分解が進行する
熱分解GCMS分析結果

未処理でのピーク面積を1としたときの面積値比較
構造
未処理
NaOH
UV
考察
A

1
1.6
3.5
UV照射で発生したオゾン及び空気中の水分により、ベンゼン環とカルボニル基間の結合が切れ、Aが生成したことにより増加
B

1
0.9
0.6
UV照射により末端二重結合となった部分が熱分解を受けると、優先的にカルボニル基が切断されCが生成するためBの生成量は減少
C

1
0.1
3.4
NaOH加水分解により末端がカルボン酸Naの形になった部分が熱分解を受けると、CのNa塩が生じるが、Na塩は揮発性が無い為GCMSでの検出量は減少
このように劣化過程によって解析結果は大きく異なります。材料がどのような劣化過程を辿ったかを解析し、ポリマー材料や使用環境を適切にすることで製品の寿命を延ばす事が可能です。ポリマー材料やサンプルの状態などに応じて適切な分析方法をご提案させていただきます。