物体色を数値化する色差計をご紹介します。光を物体に照射すると、物体の表面や内部で光学的な現象が起こり、その散乱光を検出することで物体色を数値化することが可能となります。
例として、水性塗料に対して紫外線(UV)を照射した条件と、UV未処理の条件で色の違いを数値化した試験結果をご紹介いたします。
色差計(装置構造)
色差計の装置には積分球が内蔵されています。
可視光(380nm~780nm)が塗料サンプルに入射すると、散乱現象が起こり、積分球内で散乱光が多重反射を起こします。
それによって均一になった光が検出器で受光されると塗料サンプルの分光反射率が検出されます。
この分光反射率からL*a*b*表色系へ変換して物体色を数値化します。
L*a*b*表色系
色空間(明度、色相、彩度)
物体色はL*a*b*表色系に変換することで、三次元直交座標の色空間で指定できます。
L*軸は明度(100:白、0:黒)と呼ばれており、a*b*軸は色相・彩度の座標です。
色相環(色相、彩度)
色彩と彩度はa*b*軸の座標で指定できます。 a*b*軸がプラスの場合、赤味から黄味となり、原点は無彩色を示します。
水性塗料の目視とL*a*b*表色系への変換
水性塗料 乾燥サンプル目視
UV照射条件の塗料は未処理に比べて、水色が薄くなったと感じられます。
UV照射によって塗料が変質することで、散乱現象に違いが生じている可能性があります。
L*a*b*表色系へ変換
b*値がUV照射条件の方で大きく増えています。青味が減少して、黄味が増していることが想定されます。色差(ΔE)も高く、目視で識別可能な値となっています。