リチウムイオン電池などの電池材料や電化製品には熱暴走や延焼を防止するために断熱シートが取り付けられており、鉱物のマイカ(雲母)を用いたマイカシートがよく用いられています。鉱物をシート状にするためにどのような接着剤や添加剤を加えているのかを分析しました。
分光法を用いたマイカシート成分分析
鉱物のマイカをシート状にするために接着剤等を添加していると考えられます。マイカシートにどのような成分が含まれているかを調べるために分光法測定を行いました。
<マイカシートとマイカ(鉱物)におけるラマンスペクトル>
マイカシートのスペクトルにおいてマイカ(鉱物)のスペクトルには見られないピークが観察されました。
ピーク帰属の結果、マイカシートにはシリコーン系の接着剤が用いられていることが示唆されました。
GC/MSを用いたマイカシートの成分分析
分光法測定によってシリコーン系の接着剤が用いられていることがわかりましたが、どのような組成のシリコーン系接着剤を用いているのかを調べるためにGC/MS測定を行いました。
<マイカシートにおける熱脱着GC/MSトータルイオンクロマトグラム>
マイカシートはシリコーン系接着剤としてペンタシクロオクタシロキサン(かご状のポリメチルシスセスキオキサン)を用いていることがわかりました。また、可塑剤としてジブチルフタレート、滑剤としてトリデカンなどの鎖式飽和炭化水素を添加していることもわかりました。
GC/MS分析では分光法だけでは同定できない成分、検出できない微量の添加剤成分なども調べることが出来ます。