エタノールやアセトンなどの有機溶剤は工業製品や器具の洗浄、有機合成の溶媒など様々な用途で使用されています。有機溶剤に不純物が含まれていると製品汚染など不良の原因となることもあるため、製品のSDSに記載されている環境下にて保管、使用する事が必要となります。
ここでは高純度品の溶媒を不適切な環境下にて保管した場合に、溶媒から確認された不純物を液打ちGC-MSにて分析した例をご紹介します。
密閉性、遮光性の無いプラスチック製洗瓶にて保管したエタノール中の不純物分析
冷暗所に遮光性試薬瓶で保管しているエタノールを、使用済みのプラスチック製洗瓶に入れ室温環境下で約一か月間放置しました。洗瓶の口は開いている為密閉はされていません。
洗瓶に保管したエタノールからはホウ酸トリエチル及びアルキルベンゼン類などの不純物が検出されました。洗瓶の口などからこのような不純物が混入した可能性が考えられます。


遮光性の無い透明瓶にて保管したアセトン中の不純物分析
冷暗所に遮光性試薬瓶で保管しているアセトンを、遮光性の無い透明なガラス瓶に入れ室温環境下で約一か月放置しました。瓶は密閉しています。
透明瓶に保管したアセトンからはジアセトンアルコールが不純物として検出されました。
温度や湿度、光の影響を受け、不純物が生成された可能性が考えられます。



アセトン互換性異性体

アルドール反応
温度、湿度、光の影響でアルドール反応が進行したと考えられる。
溶剤以外の試薬や薬液等でも、正しい保管環境下にないと不純物が混入したり劣化を起こす事があります。
使用している溶剤や試薬に不純物が混入していないか、サンプルや目的に合わせた手法を提案させて頂きますのでお気軽にお問い合わせ下さい。