赤外分光法とラマン分光法の比較

赤外分光法とラマン分光法はどちらも分子の振動エネルギーを調べる振動分光法ですが、各分光法で得られるスペクトルの形状は同一物質を測定しても互いに異なります。本資料では各分光法と得られるスペクトルの特徴を紹介します。

赤外分光法とラマン分光法の特徴~赤外・ラマン活性を示す振動~

分子の構造や振動モードによって赤外吸収、ラマン散乱を起こすものは異なります。

同一試料における赤外吸収スペクトルとラマンスペクトルの違い

同じ樹脂試料を測定しても赤外吸収(IR)スペクトルとラマンスペクトルでは異なる形状を示します。

 

 

原理的に同じ振動由来のピークは同じ位置に観察されますが、強度が異なります。

双極子モーメントを持つC=O伸縮は赤外活性を、対称性が高いC=C伸縮はラマン活性をより強く示す傾向があります。

 

 

同じベンゼン環由来の振動であっても振動モードによって赤外活性、ラマン活性を示すものは異なります。

ベンゼン環のC-H伸縮や骨格振動はラマン活性、C-H変角振動は赤外活性を示します。

赤外分光法とラマン分光法は相補的であり、どちらか単独の分析では得られない情報も、2つの分析を行うことによってより詳細で正確に得ることができます。

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