MALDI-TOFMSによる顔料、ポリマー分析

MALDI-TOFMSはタンパク質などの生体試料の分析に多く用いられる手法ですが、合成化合物や合成高分子材料の分野においても活用されています。ここでは、合成化合物としてカラーフィルターなどに使用される顔料、合成高分子としてポリエチレングリコールの解析例を紹介します。

MALDI-TOFMS

マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法(MALDI法)は、レーザーによってイオン化しやすいマトリクスと試料を混合することで、ダメージを与えること無く試料をイオン化し質量分析を行う事ができる手法です。質量分析には多くの場合飛行時間型(TOF型)が用いられます。

MALDI-TOFMS

顔料(Blue15, Green7)の測定例

フタロシアニン系などイオン化しやすい化合物はマトリクス無しの懸濁液でも測定する事ができます。 Blue15では炭素の同位体ピークが確認されましたが、塩素が含まれるGreen7では炭素の同位体ピークの他塩素の同位体ピークが確認されました。
このように質量数だけでなく同位体ピークによっても化合物の組成に関する情報を得る事ができます。

blue15
green7

ポリエチレングリコールの測定例

ポリエチレングリコールを測定した結果、44m/z間隔にピークが検出されました。これはポリエチレングリコールの繰り返し構造である-CH2CH2O-を示しています。溶媒に溶けることが必要となりますが、GPCに対しては小さく、LCMSに対しては大きいようなポリマーの分析に適しています。

ポリエチレングリコール

数平均分子量Mn :1930
重量平均分子量Mw :1970
多分散度Mw/Mn :1.02

GPCが基準物質からの相対値で分子量を評価するのに対し、MALDI-TOFMSでは絶対値として質量数が検出されます。

MALDI-TOFMSでは顔料など不溶性であったり分子量が大きい物質の分子量情報、合成ポリマーなどの分子量情報、末端基情報などを得る事ができます。
合成化合物の質量確認や、他の分析手法と組み合わせての構造解析など、お気軽にお問い合わせください。

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