顕微ラマンによる金属腐食の分析

ラマン分光分析は有機物だけでなく、金属酸化物などの無機化合物の分析も可能です。

鉄表面に発生した錆の分析

鉄の錆発生メカニズム

鉄の腐食過程

鉄の腐食過程は上記のような機構で進行し、腐食の進み具合により種々の化合物が混在します。

錆びた鉄ポイントA

FeOOHとFe2O3が入り混じっている

FeOOH、Fe3O4、Fe2O3が入り混じっている

隣あった2箇所で得られたスペクトルが異なり、Aの場所ではFeOOHとFe2O3が入り混じっており、
Bの場所ではFeOOH、Fe3O4、Fe2O3が入り混じった状態であると考えられます。

ラマン分析により、ミクロンオーダーの微細な範囲での鉄の酸化状態が確認できました。

鉄錆び成分のラマンスペクトル

同じ鉄の酸化物、水酸化物でも、価数や結晶構造の差異によってスペクトルが異なります。

α-FeOOH
γ-FeOOH
Fe3O4
Fe2O3

銅張積層板表面の黒点分析

銅張積層板表面に発生した変色部をラマンにて分析してみました。

表面に僅かな変色が見られる

銅張積層板表面の変色部

拡大すると黒い染みのような状態が
見られる

銅張積層板表面変色部拡大画像
銅張積層板変色部とそのスペクトル

変色部からCuOのスペクトルが得られました。
変色の正体は銅表面に発生した銅の酸化物であると考えられます。

銅の酸化メカニズム
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