樹脂材料(半導体/LED用途)の分析

MOSFET、ICといった半導体製品、LEDパッケージには、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂といった樹脂材料が多く使用されています。これらの特性は製品の性能に大きく寄与します。
アイテスではこれらの樹脂材料を分析し、製品性能に与える特性を評価することが可能です。

半導体製品/LEDパッケージ用樹脂に求められる物性と分析・評価方法

ガラス転移温度

ガラス転移温度を境に樹脂の特性が変化し、封止樹脂の強度、密着性などが低下します。

DSC,TMA

線膨張係数

封止樹脂の線膨張係数と基板の線膨張係数に差があると、密着性が低下します。

TMA
半導体
半導体とLED

添加剤

封止樹脂には様々な添加剤が含まれています。
これらは封止樹脂の物性に大きな影響を与えます。

有機物:GC-MS
無機フィラー:SEM/EDX

耐熱性

樹脂は熱によって劣化する場合があります。
劣化の要因や劣化のし易さなどを化学構造から明らかにします。

TG-DTA, FT-IR, GCMS

各評価法の解説

  • DSC:昇降温に伴う物質の熱量変化を測定し、樹脂の硬化度を評価できます。
  • TMA:昇降温に伴う材料の膨張収縮を測定します。
  • GCMS:有機物を同定し、構造の推定、定量ができます。
  • SEM-EDX:元素を検出して無機物の種類を推定できます。
  • TG-DTA:昇降温に伴う材料の熱量/重量の変化から耐熱性*を評価します。 *熱分解温度
  • FT-IR:有機物の構造を推定できます。

MOSFET封止樹脂の分析例(高耐熱対応品、非対応品より採取)

TG-DTA

TG-DTA

TG-DTAによる分析で非対応品は200℃を越えたあたりで重量の急減が見られる。

→何らかの物質が揮発している。

TMA

TMA

TMAによる分析ではTgに差が見られTg後の線膨張係数(グラフ接線の傾き)に差が見られ、高耐熱対応品の方が線膨張係数の変化が小さい。

→分子構造に差がある。

熱脱着GCMS(340℃)

熱脱着GCMS(340℃)

熱分解GCMS(700℃)

熱分解GCMS(700℃)

GCMSによる成分分析

高耐熱非対応品
高耐熱対応品
A
主成分
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂
ビスフェノールA型エポキシ樹脂
B
改質剤
芳香族オリゴマー
芳香族オリゴマー
C
紫外線吸着剤
ベンゾフェノン他
D
硬化剤
アミン系
BTDA
E
硬化促進剤
トリフェニルホスフィン

高耐熱対応品は揮発成分の少なさとBTDAによる強固な架橋(高架橋密度)の形成により、高耐熱性を実現していると考えられる。

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