GC-MS分析の前処理として溶媒抽出を行う事で、目的物を高感度に分析出来る場合があります。
ここではウエスで拭いた汚れの成分比較、感熱紙に含まれる顕色剤の成分比較を溶媒抽出を用いて行った例を
紹介します。
汚れ成分と周辺材との比較分析
機材に付着していた汚れをウエスで拭き取り、溶媒抽出した後成分分析を行いました。
また、汚れが付着していた周辺で使用していた機械油、グリースについても分析を行い、成分の比較を行い
ました。
機械油、グリースのスペクトルと比較すると、主成分と添加剤成分が一致したことから、汚れは機械油由来で
あることが分かりました。
感熱紙に含まれる顕色剤の成分比較
感熱紙には酸性の顕色剤と、酸と反応して発色する色素が含まれており、熱をかけた部分の色素と顕色剤が融解し反応する事で発色・印字されます。ここでは2種類の感熱紙を溶媒抽出し含まれる顕色剤の成分分析を行いました。
感熱紙①と②では異なる顕色剤が使用されていることが分かりました。
以前は顕色剤としてビスフェノールAがよく用いられていましたが、REACH規則を受け現在では色素との高い
反応性からビスフェノールSが代替品として広く使用されています。ただビスフェノールSもビスフェノールA
と同様に内分泌かく乱性の懸念が指摘されています。
溶媒抽出以外にも、サンプルや分析対象に合わせて様々な前処理方法から最適な手法を提案させて頂きます
ので、お気軽にお問い合わせください。