光学顕微鏡とSEMの使い分け​

試料の観察には光学顕微鏡とSEM(走査電子顕微鏡)がよく用いられますが、それぞれ特徴があるので目的に応じた装置を選択する事が大切です。以下に光学顕微鏡とSEMを同じサンプルで比較し一般的に言われているメリット、デメリットを挙げさせて頂きます。

光学顕微鏡の特徴

メリット

・色情報が得られる

・大気中での観察の為、水分を含むものも可能

・導電コート等の前処理が不要で、試料に変化 

 を加えない

・観察によるダメージが発生しない

デメリット

・焦点深度が浅く、高低差があると拡大するほどフォーカス(焦点)が合わなくなる

・倍率が1000倍程度までとなりサブミクロンオーダーの観察には向かない

こんな観察におすすめ

・変色や腐食など色の情報が重要な場合

・観察対象がミクロンオーダーまで

・後に他の分析手法(電気測定やFT-IR等)と併用する可能性があり、コート等の処理が行えない場合

・真空やビームに弱い柔らかい試料や水分を含む試料

SEM(走査電子顕微鏡)の特徴​

メリット

・焦点深度が深くフォーカスの合う範囲が広い

・光学顕微鏡より高倍率まで対応でき、サブ

 ミクロンからナノオーダーまでの観察が可能

・元素番号に応じた輝度が得られ、元素による

 差異が確認できる(白以外は有機物の塗料)

デメリット

・色の情報は得られない

・真空装置の為、水分を含む試料は観察できない

・電子線を用いる為、導電性の無い試料は帯電防止

 のため導電コートを施す必要がある

・電子線や熱に弱い試料は観察部に電子線による

 ダメージが発生する場合がある

こんな観察におすすめ

・微細構造や形状の観察

・汚染が推測される試料など元素の差異を確認したい場合

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