不織布シートや膜材料の孔径、細孔分布の評価は、機能材料の性能評価、品質管理において重要な分析項目です。不織布シートの最大孔径、細孔分布を、バブルポイント法を用いて評価した例を紹介します。
バブルポイント法について
バブルポイント法は、紙、不織布などシート状材料の孔径評価に適した分析手法です。概要を図1に示します。
試料を薬液に浸漬し空気圧を加えます。圧力を加え、シートに染み込んだ薬液の表面張力に打ち勝ち、気泡の出現が生じたときの圧力をバブルポイントといいます。
最大孔径dは、バブルポイントの圧力、薬液の表面張力を基に計算することが可能です。
d = C γ / P
d: 最大孔径
C: 定数 γ: 薬液の表面張力 P: 差圧
圧力変化に応じて、ガスの流量も変化します。流量計でガス量の変化を確認することで、細孔の分布の計測も可能となります。
通常は、水を用いて測定を行いますが、孔径が小さい場合や試料に液が染み込みにくい場合は、フルオロエーテル系の薬液を用います。
液漏れ防止用不織布シートの孔径評価
液漏れ防止用の不織布シートをフルオロエーテル系の薬液に浸し、空気圧を掛けたときの流量変化を図2に示します。
バブルポイント圧は 33.80KPaで、算出された最大孔径は1.35μmとなりました。細孔の分布を評価したところ、孔径サイズは、1.0~1.3μm程度でほぼ均一となっておりました(図3)。
適用範囲
今回は、液漏れ防止用不織布シートの分析事例を紹介しましたが、バッテリーセパレーターの孔径分布評価やピンホール検出にも適用可能な分析手法です。
測定孔径(浸漬液によって異なります)
水 約0.2~200μm
フルオロエーテル 約50nm~40μm