透明素材の透過率は、使用される製品のスペックに重要な特性項目であり、熱、湿度、紫外線などによる劣化でその特性が低下、または失われる場合があります。本資料では、装置原理とともに、透明樹脂の恒温恒湿試験前後での透過率の変化を比較評価した結果、および考察内容をご紹介します。
自記分光光度計の原理、および仕様
光源から放出された複数の波長をスリットで特定の波長を取り出し回折格子で分光させ、サンプルを通過した波長ごとの強度を検出しスペクトルデータに変換します。
仕様
測定範囲
190ー3200nm
測定モード
スペクトル 定量 経時変化
測定
吸光度(Abs) 透過率(%)
PET樹脂(ポリエチレンテレフタレート)の透過率変化
恒温恒湿試験(85℃ 85% 168時間)前後の透過率結果を以下に示します。
(測定波長範囲:250ー1500nm)
試験後では、波長全体の透過率が下がり、特に1000nmから徐々に低下しています。
熱と水の負荷により、エステル結合(赤〇部)が破断されPET樹脂は変質していると考えられます。
試験前
試験後
PVC樹脂(塩ビ:ポリビニルクロリド)の透過率変化
恒温恒湿試験(85℃ 85% 168時間)前後の透過率結果を以下に示します。
(測定波長範囲:250ー1500nm)
試験後では、波長全体の透過率が下がり、特に1100nm付近から徐々に低下しています。添加されている可塑剤の減少と側鎖塩素(赤〇部)の配向および樹脂密度変化が原因として考えられます。
試験前
試験後
アイテスでは、負荷試験前後の特性変化の評価など、信頼性試験から特性評価まで、一貫対応いたします。