前回のホットメルト接着剤に引きつづき、今回も基板の耐久性アップのご提案。『基板コーティング』を紹介させていただきます。
フッ素コーティング剤について
このたびアイテスはフッ素コーティング剤を導入しました。
ご承知のとおり、アイテスは故障した電子機器の修理サービスを生業としています。しかしながら、様々なお客様の現場を拝見し、要望を拝聴していると、故障した機器の修理よりも「如何にして故障をさせないか」「どのようにして製造ラインの信頼性を保つか」といったテーマにより重きを置いていることに気づかされます。アイテスはこれまでオーバーホールとして電解コンデンサや放熱ファン、HDDなどのいわゆる劣化しやすい部品の交換を提案してきましたが、その延長線上には前回紹介しました「ホットボンドによる基板上の電子部品の固定」があり、更に基板そのものの耐久性を高める手段を模索した結果、この基板コーティングの導入に至りました。
メリットとデメリット
一番のメリットは防湿性、防水性、耐リチウム電池電解液、耐酸性、耐酸化ガスがあり外部からの腐食から基板を守ります。それ以外にも高絶縁抵抗等のメリットがあり、また非引火性、非危険物ですので使用する環境を選びません。
具体的には鉄粉などの粉塵が多い現場で使われている場合、ショートが発生する場合がありますが、このコーティングによってそれを防ぐことができます。また撥水性も持ち合わせていますので結露しやすい環境でも有効です。
デメリットをあげるとすれば、基板そのものをコーティングしてしまうため修理作業が若干困難になりますが、コーティングの厚さはわずか100μm程度ですので大きな問題にはなりません。塗布作業について
作業時間にもよりますがB5くらいの大きさのボードであれば費用は15,000円前後となります。基板上にコネクタ等がある場合はマスキングテープによる養生作業が必要となりますので別途費用が発生することがあります。
また、現在の塗布方法は「ハケ塗り」ですが今後要望が多くなればディッピングによる塗布対応も導入を検討します。
以下の写真がフッ素コーティング剤を塗布した基板になります。
ハケ塗りのために塗りムラは出ていますがしっかりと保護できていることが分かります。
またマスキングしていた場所はコーティングされていないためコネクタとの接続が可能です。
最後に・・・
産業機器は粉塵・汚れが多い環境や高湿度、高温度の過酷な環境で使用されている場合が多く、基板自体や電子部品にも負荷がかかります。そこでフッ素コーティング剤で塗布してやることによって外的要因の不具合発生を抑え、製造ラインでの稼働の信頼性を高めることにつながります。
修理のその先へ(Plus Repair)。それが新しいアイテスのモットーです。