以前メルマガで“新品未使用・未開封のマザーボードでも電解コンデンサが液漏れを起こす場合がある”という記事を紹介させていただきましたが、今回はそのマザーボードを実際に修理してみようと思います。
未だに一度も開封していない下記のマザーボードですが、やはり電解コンデンサが液漏れしているのは間違いなさそうです。開封して動作確認をしてみると、電源は入りますが起動させることができませんでした。
それでは早速このマザーボードを開封し、電解コンデンサを交換してみましょう。
まずは“半田吸取器”という装置を使って基板から電解コンデンサを外します。
この時、熱を加えるエリアが広いと熱が逃げやすくうまくいきません。均一に半田を溶かすにはちょっとしたコツが要ります。かといって長く半田吸取器を当ててしまうと熱でランドなど周辺の電子部品を傷めてしまうので、あくまで最短での作業が求められます。意外かもしれませんが、実は電子部品は“基板から外す時の方が高い技術を求められる”のです。
続いて半田ごてを使い電解コンデンサを基板に取り付けます。電解コンデンサは“極性”があるので取り付ける向きには十分注意が必要です。万が一間違えて取り付けてしまうとコンデンサが爆発(!!)してしまいます。
無事交換ができたらもう一度『コンデンサの向き』『半田の状態』『半田のカスが基板に落ちていないか』などをじっくり目視確認します。この半田作業は作業者の熟練度や技術力が顕著に反映されます。アイテスの確かな技術で仕上げる美しさはお客様からもご好評をいただいております。
それではいよいよ電源を入れてみましょう!この仕事で一番緊張する瞬間です。
念のため基板から外した電解コンデンサを“Cメータ”という容量測定装置で計ったところ、液漏れしていなかったコンデンサは規定の容量が確認できましたが液漏れしていたコンデンサは『測定不能』でした。
前回の繰り返しになりますが、未使用新品の状態で長期間保管している、当時問題なく使用していたけれども外してずいぶん時間が経っている、などの産業機器を再度現場に復帰させる場合は一度しっかりと点検する必要があります。
アイテスでは一通りの診断後、必要に応じて部品交換もしくは予防交換(オーバーホール)をさせていただきます。
特になかなか止めることができない製造ラインの装置や産業用パソコンなどは定期的な診断をオススメします。
ご希望、ご相談があればまずはアイテス営業【西田・今井】にご相談ください。