未だに修理の問い合わせの絶えないブラウン管モニター(CRT)。製造の現場ではまだまだ現役で使用している所も珍しくありません。しかしながら、その修理の難しさからこれまでアイテスは積極的な受け入れを敬遠してきました。しかしそこにはお客様の明確な“お困りごと”があるわけで、逃げてばかりもいられません。アイテスは修理でもない、中古品の置き換えでもない、全く新しい方法でこの“CRT問題”を解決します。
こんなに難しい ブラウン管モニターの修理
ブラウン管モニター(CRT)の修理はあらゆる側面において困難が付きまといます。
まず、とにかく古い機器ですのでメインの表示器であるブラウン管をはじめ、電源基板等の修理用の部材の入手が叶いません。また、外装のプラスチックの筐体に至るまで全身隈なく劣化しており、内部は煤などで真っ黒なうえにそこそこの重量があるため、まさに“作業者泣かせ”の修理品といっても過言ではありませんでした。アイテスの修理手順上、お預かりした現品を分解して解析診断を繰り返し、ようやく不具合部位の特定に至ってもその部品の入手が叶わず、結果ギブアップでの返却を余儀なくされるばかりであり、煤で汚れた手をじっと見る毎日でした。
安易にLCDに置き換えることもできません
最終的にギブアップ(修理対応不可)をお客様に告げる際に、弊社では毎回『LCDへの置き換え』を提案してまいりました。しかしながらスペースの問題、表示出力信号やコネクタ形状の問題等でCRTをLCDに置き換えるのは想像以上にハードルが高く、皆一様に難色を示されました。
求められる課題は、『外形の寸法はCRTのまま』『インプットやアウトプットのコネクタ形状もそのままに』『漢字ディスプレイターミナルを維持しながら』かつ『信頼性高くラインで稼働できること』であり、これらの要望を満たすために、社内の技術者による試行錯誤がはじまりました。
完成したCRTとLCDのハイブリッド筐体
そしてついに、社内の技術担当者の血と汗の結晶、CRTとLCDの完全な“掛け合わせ”に成功しました。『外形の寸法はCRTのまま』『インプットやアウトプットのコネクタ形状もそのままに』『漢字ディスプレイターミナルを維持しながら』かつ『信頼性高くラインで稼働できること』の全ての課題を解決することに成功しています。もっとも苦労した点は、掛け合わせの際に必ず発生する様々な規格や相性の不一致をひとつひとつ根気よく消し込むこととか。技術担当者の執念を感じます。ちなみに現時点での実績はDIGITAL社のVT382のみですがこの手法は他のCRTにも応用可能です。
最後に
製造の現場から求められる要望は様々であり、修理よりも“ラインの信頼性を保つこと”が特に重要視されています。今後も日々成長を続けるアイテスの修理技術にご期待ください。
修理のその先へ(Plus Repair)。それがアイテスのモットーです。