【修理対象】 デスクトップ用ATX電源
【最大総合出力】 250W
【不具合症状】 電源部から『ジー』という異音がする
早速こちらの『異音(ジーという音)がする電源』を診断、修理してみましょう。
まず外装カバーの分解です。電源カバーは感電の危険性が高く簡単には開けられないようになっています。
よってカバーを開ける時はまるで“知恵の輪”を解くように構造を理解し、根気よく順番にバラす必要があります。
電源の内部基板です。ほぼすべての電解コンデンサが液漏れしているのが分かります。
因みにこの状態でも「ジー」というノイズ音こそしているものの、電源自体は正常に動いています。
実はこのようなケースはさほど珍しくはなく、『電解コンデンサが破裂=電源が入らなくなる』というわけではないことが分かります。もちろん、不安定な電圧供給によりマザーボード側に負荷が掛かり続けると、いずれマザーボードの故障原因となります。
電源内部の基板を取り出すことができたら、次は電解コンデンサを固定している樹脂を除去します。
その後電解コンデンサ交換をするのですが、電源は基板上のパターンが非常に大きく、熱を逃がしやすい設計ですので、通常の半田作業ができません。この対処方法は、弊社独自のノウハウで基板や周辺部品へのダメージを最小限に抑えて交換をしています。
交換後は問題が無いか目視検査を行い、電子部品の樹脂固定を行います。この固定を怠ると、衝撃で部品が他の部品と接触してショートしたり、ノイズ音の原因となります。弊社では『ホットメルト』を使用しています。
基板を取り付けてケースを閉めて完成です。
動作確認にて電解コンデンサ交換前にしていたジーというノイズ音もなくなりました。
【電源修理の場合は、必ず24時間以上のロングランテストを行い、入念に確認しています。】
オフィスや製造現場のPCで急に再起動が掛かったり、ブルースクリーン状態や、うまく起動しない等の理由は案外電源が原因であることが多いです。先述のとおり、電解コンデンサが破裂していても無症状のこともありますので、少なくともこのような症状が出た場合は早めに点検することが重要です。
※繰り返しになりますが、電源は100V以上の電圧が供給されているため大変危険です。
電源は内部の電子部品の密集率が非常に高く、安易にケースを開けるとショートする恐れが非常に高いです。
また比較的大きな電解コンデンサがついているため、電源を切ってもしばらくは電荷が残っています。
点検の際は必ず専門の業者に依頼してください。
専門の業者をお探しでしたら、まずはアイテス営業【西田・今井】にご相談ください。