先月号で告知しましたとおり今月のメルマガではPC98・FC98のテスト環境の説明をさせていただく予定でしたが、先日ホットメルト接着剤を導入しましたので、今回は一部記事の内容を変更しこのホットメルト接着剤について紹介したいと思います。
ホットメルト接着剤とは?
ホットメルト接着剤の構造は、スティック状の樹脂をグルーガンと呼ばれる機械で熱を加えて液状にした物質を用い対象を接着するというシンプルな物です。別名ホットボンドとも呼ばれます。こちらは2液混合のエポキシなどとは異なり、レバーを引くだけで接着剤が出てきて、撹拌する必要などもないので作業時のヤケドにさえ気をつければ誰でも手軽に扱うことができます。
またスティック状の樹脂には種類があり用途によって使い分けることができます。今回弊社が導入したものは基板にも使用できる“ポリアミド系”の材料になります。
・グルーガン(接着剤を溶かす機械)
・スティックボンド(材料接着剤)
ホットメルト接着剤の用途
今回弊社がコンデンサやコイルなどを固定するためのホットメルト接着剤を導入した背景には、昨今の産業機器の修理依頼品がより大型化し、また振動等の過酷な環境さらされる機器が増加しているという事情があります。
これまでも基板にコンデンサやコイルをしっかり固定する要望はありましたが、それらはシリコン樹脂にて対応しておりました。しかしながら大きな電子部品が多く、振動の多い現場で使用されている産業装置では強度不足が心配されておりましたので、修理後の信頼性を向上させる目的でより強度に優れたホットメルト接着剤を導入しました。
実際に触ってみるとその差は歴然であり、シリコン樹脂はプニプニと弾力があるのですがホットメルトは適度に硬く、しっかりと基板に固定できていることを実感します。
試しに場内のパソコンの基板に塗ってみると以下のような仕上がりになりました。
ホットメルト接着剤の長所と短所
長所
- 誰でも手軽に扱うことができる
- 不燃性である
- 溶剤は使用されておらず環境に優しい
- 連続的に使用できるため作業効率が良い(接着後の再加工も可能)
短所
- 作業者は発熱によるヤケドに注意する必要がある
- 高温となる部分の対応は不可(約100℃まで)
- ツルツルした面等、使用する場所によっては十分な接着力が得られない場合がある
最後に・・・
産業機器は振動等の過酷な環境で使用されている場合が多く、コンデンサやコイルなど背が高く大きな部品になるほどハンダ部分に物理的な負荷がかかります。そこでホットメルト接着剤で固定してやることによってハンダ不良(ハンダクラック等)の発生を抑え、製造ラインでの稼働の信頼性を高めることにつながります。
基板の修理と同時に修理後の再発予防措置としてホットメルトによる部品の固定オプション(有償)を是非ご検討ください。