パソコンには、オペレーティングシステムを含む各種のソフトウェアやデータの格納場所として使われる外部記憶装置(ハードディスク)があります。今回はそのハードディスクについてお話をいたします。
ハードディスクには大きさが2.5インチ、3.5インチの2種類があり、小さい2.5インチがノートパソコンや小型デスクトップパソコンに使われており、3.5インチはデスクトップパソコン、サーバーなどに使われております。
また接続方法ですが現在の一般パソコンの主流はSATA接続になり、サーバーはSAS接続というものになります。
10年程前はIDE接続、SCSI接続なども使われていました。
SATAやSAS接続はシリアル転送方法を使ったもので、7本の線でパソコンと接続しております。
在来のIDEでは40本、SCSIでは50本もしくは68本の線でパラレル転送方法にて接続していましたので、ケーブルもスリムとなり抜き差しもしやすく扱いやすくなりました。
ハードディスクの構造を見てみよう
ではハードディスクとはどのような構造になっているのでしょうか。
まずは外見から見てみましょう。
ハードディスクの裏側は基板があり、接続するコネクタがついております。
SATAハードディスクもIDEハードディスクも同じ構成をしていますが、IDEにはジャンパースイッチと呼ばれるものがあります。
ここまではパソコンを少し分解された経験者の方には見覚えのある部分かと思いますが、今度は内部を見てみましょう。
3.5インチのハードディスクの蓋をあけてみると、以下のような構造になっております。
2.5インチ型のハードディスクも同じ構成の部品で機能をしておりますが、厚みが薄くする必要があるため若干形が違っています。
ハードディスクは特殊な形をしたネジを取れば簡単に開けられますが、内部は気密性が高くホコリやゴミなどの異物が混入しない構造になっています。普通の空間でハードディスクを開封することは厳禁です。
ちなみにサーバーなどで使われているSASやSCSIは接続部分が違いますが、同じような部品で構成されています。
ハードディスクの動作のしくみ
ではハードディスクはどのようにデータを読み書きしているのでしょうか。
データは回転するディスクの上に記録されます。そのディスクより読み取りや書き込みをするのは磁気ヘッドです。アームの先に取り付けられた磁気ヘッドは、アクチュエータにより円弧を描くようにディスク上を走査(シーク)して、ディスク上のデータにアクセスします。ディスクの表面には磁性体がコーティングされており、磁界を検出し記録したり、読み込したりしています。
ディスクを回転させるのはスピンドルモーターです。通常のパソコンだと毎分5400回転から10000回転が主流となっています。使用目的によって多様な回転数のものが存在しますが、回転数が高いHDDほど高性能です。
ハードディスクの故障しやすい理由
ディスクが回転すると、表面には回転方向に空気流が生まれます。磁気ヘッドはこの空気流に乗ってディスク面からごくわずかに浮上し、ディスク上を動きます。ディスクとの磁気ヘッドのすき間はなんと0.00001mmとなります。この値は髪の毛(約0.01mm)、指紋(約0.003mm) 、たばこ煙の粒子(約0.003mm)など比べても、遥かに小さな値となります。磁気ヘッドとディスクの距離を例えると、ジャンボジェットが地上コンマ数ミリを低空飛行している状態なのです。
そのような距離のため、外からでも衝撃を与えられるとアームが揺れてディスクに接触してしまい、磁性体のコーティングが剥がれて磁気が読めなくなります。また、剥がれたコーティングのゴミがディスク内部で散らばってしまい、更に状況を悪化させて、アクセスできなくなる箇所はどんどん増えていきます。
ハードディスクの故障させにくくするには
最近では制御方法が進化したためかなり精密度があがり、少しの衝撃では壊れにくくなりましたが、構造上やはり衝撃には弱いのは変わりがありません。
パソコンを移動させる場合は必ず電源を切って移動させることや、パソコンに衝撃を与えたり揺らしたりしないなど、今一度パソコンというのは精密機器だということを理解してもらえると、故障が減らせるかと思います。
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次回は入門編④『バッテリー編』をお伝えいたします。お楽しみに!!