昨今、あらゆる電化製品・電子機器に当たり前のように登載されている『液晶パネル』。今回はこの液晶パネルについて、お話し致します。
液晶パネルの構造
まず、液晶パネルの構造を簡単に説明すると、以下の図のような層になっています。
裏側にあるバックライトより光が出ていき、偏光フィルターを通り、カラーフィルターを通り、もう1枚の偏光フィルターを通り、画面に表示されています。
2枚の偏光フィルターは、輝度(きど)の調整を主にしています。カラーフィルターは、色を作る部分になります。
液晶パネルのバックライトの点灯方法の違いについて
液晶のバックライトの点灯方法には大きく2つの種類があり、LEDになっているものとCCFL(陰極管)になっているものがあります。
- LEDの場合、インバーター基盤が要らず、軽量で薄型のパネルが作れます。コントラスト比が高く、消費電力が少ない、熱が発生しにくいなどのメリットがあります。また、バックライトの電源用のケーブルも要らなくなり、1本のケーブルを繋ぐだけになります。デメリットは、バックライトの輝度が若干低いため、明るい部屋では見にくいことです。また修理では、バックライトの取り外しが困難になっており、不具合が発生したときは、液晶の一式交換が必要となります。
※下の写真はノート用のLEDバックライトの液晶パネルです。
- CCFLは、以下の写真のように、バックライトの電源ケーブルと、信号線のケーブルがあります。メリットは輝度が高く、明るく表示できることです。また、LEDのバックライトのものよりは、若干価格が安くなっています。
デメリットは、インバーター基盤が必要になってくることと、コントラスト比もLEDに比べると低く、消費電力も多くなることです。修理では、バックライトのみで取り替えられるので、パネルを一式交換しないで修理ができます。
※単体の液晶モニターに使われていたCCFLが上下についているパネルの写真です。
液晶パネル動作方法の違いについて
- 液晶パネルにはいくつかの動作方法がありますが、大まかに分けると、TN(Twisted Nematic)方式、VA(Vertical Alignment)方式、IPS(In-Plane-Switching)方式の3種類があります。そして動作方法の違いによって大きく影響するのは、視野角と応答速度になります。
- まずTN方式の特長として、駆動電圧が低いため省電力になり、コストも安くなります。 デメリットは視野角による色変化や、輝度変化が大きいことです。画面を見る角度によって、輝度が異なってしまいます。 パソコンの液晶パネルの大半に、このパネルが使われております。
- VA方式の特長は、色変化や輝度変化が少なく、純粋な「黒」を表現でき、コントラスト比も高くできます。デメリットについては、TNパネルより価格が高くなってしまうことです。
- IPS方式の特長は、視野角による輝度変化/色変化が一番少ないことです。デメリットについては、コントラスト比と輝度・応答速度を高くしにくく、コストが非常に高いことです。応答速度より色の精度を重視したい、デザイン分野や医療向けに、主に使われています。スマートフォンも、高価な機種に使われています。
上記説明で出てきた用語の説明
- CCFLとは日本語では冷陰極管と言われ、「放電」と「蛍光」の2つの現象を利用した照明装置です。大まかに言うと、蛍光ランプの一種です。
- 輝度とは画面の明るさのことで、単位は「cd/m2」(カンデラ 毎 平方メートル)です。数字が大きいほど画面が明るくなります。
- コントラスト比とは画面内の「白(最大輝度)」と「黒(最小輝度)」の輝度比です。コントラスト比が高いと画面にメリハリがつき、くっきりはっきりした画質になります。
液晶パネル修理について
LEDバックライトが主流となった今でも、アイテスでは数ヶ月の間で以下の写真ほどのCCFLの交換をしています。
お客様からは「愛着があるパソコンをどうしても直して欲しい」、「産業装置で置き換えが簡単にできない」、「保守契約をしておりまだ使う必要がある」等の声をお聞きしております。CCFLは長さや太さが違うと使えないため、アイテスでは30種類程の在庫を持っています。
LEDバックライトについては、構造上どうしても交換が難しいためパネル交換対応となっていますが、特殊な薄型のパネルを除き、よく使われるものを20種類程の在庫を持っております。
液晶パネルの取り扱いについて
最近の軽量パソコンに搭載されている液晶は、下の写真のように、SDカードとほとんど厚さが変わらないものがあります。このような薄型パネルは、非常に衝撃に弱く、ちょっとした事で割れてしまいます。鞄の中に入れて持ち運んだだけで、パネルが割れていたお客様などもおられました。
軽量パソコンは持ち運びを想定して軽く作られていることもあり、耐衝撃性を犠牲にしているところがあります。パソコンをあまり圧迫しないように注意して取り扱うことで、パソコンを壊さずに長く使っていただけます。
最後に・・・
修理のノウハウを惜しみなくお伝えする本企画『明日から修理屋さん』いかがでしたでしょうか。
次回は『キーボード編』をお伝えいたします。お楽しみに!!