基板実装部品の断面観察

市販されているパソコン内部に装着されている実装基板を用いて、各種部品のはんだ接合部や部品内部の構造観察など、断面観察例をご紹介します。

実装基板の外観 (鉛フリーはんだ使用品)

信頼性試験前後に断面観察を行うことで製品の信頼性を評価することができます。次頁以降に示す断面観察例-1~10は、市販のパソコン基板を用いて、実装部品(上図10品)のはんだ接合部や部品内部の構造を金属顕微鏡で観察したものです。観察する際は、はんだ接合界面の状態やクラック等の欠陥部を明確に捉えるために、最適な『観察モード』を選択することが重要です。

顕微鏡観察モードの特徴や見え方の違いも記載していますので、是非ご参考ください。

断面観察例-1 チップコンデンサ(MLCC)で、顕微鏡の『観察モード』をご紹介します

金属顕微鏡の観察モードには、明視野観察、暗明視野Mix、暗視野観察、偏光観察等があ

ります。ここに記載はありませんが、その他に透過光による観察等もあり、試料に合わせて観察モードを選択します。

実装部品は、正しく接合されていないと正常に動作しないため確認が必要です。

信頼性試験前後の観察や断面観察など、ご検討の際は下記までご相談ください。

断面観察例-2 BGA実装品で、広範囲を観察できる『連結画像』をご紹介します

横幅が50mmのBGA実装品を用いて、連結画像を作成しました。全体像を観察することで実装時に発生した基板の歪みを確認することができます。合わせて、観察モードでの見え方の違いも記載しています。

断面観察例-3 チップ抵抗器で、はんだ部と微細な内部構造を観察

はんだ接合部の観察とともに、チップ抵抗器の保護膜の潜り込み、抵抗体の切欠き部に注目しました。金属顕微鏡の観察倍率は x1000 程度が上限です。さらに高倍率で確認するには、

電子顕微鏡(SEM)で観察します。

実装部品は、正しく接合されていないと正常に動作しないため確認が必要です。

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断面観察例-4 SOPのはんだ部を断面観察していたら……

元素分析未実施のため正確には不明ですが、はんだの色味から、錫(Sn)と鉛(Pb)の共晶はんだが使用されているようです。同一基板上の他部品とは異なるはんだ材料が使われていたことから、この部品のみリペア(再実装)が行われたと推察されます。はんだ材料には共晶はんだや合金はんだなど種々ありますが、材料組成を確認したい場合は、断面観察と合わせて元素分析をお勧めします。

断面観察例-5 QFNで、はんだ部と内部構造を観察

はんだ接合部の状態と部品の内部構造に注目しました。はんだ接合部は、大きめのボイドはあるもののクラックは確認されずほぼ良好な状態でした。また、部品内部の素子上には、金(Au)のワイヤボンディングが観察されました。見えているのは 1st ボンドの接合部ですが、接続不良は確認されませんでした。

実装部品は、正しく接合されていないと正常に動作しないため確認が必要です。

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断面観察例-6 コイル部品で、はんだ部と部品全体の構造を観察

はんだ接合部の状態、内部の巻線部とリードフレームとの接合を観察したところ、はんだや巻線部など、各部の接合状態は良好でした。接合部の不具合ではありませんが、モールド樹脂材が割れている箇所も確認されました。

 

断面観察例-7 電解コンデンサで、はんだ部と部品全体の構造を観察

はんだ接合部の状態、部品の内部構造に注目しています。はんだ接合部の状態は、概ね良好であることが確認されました。また部品内部には、巻回形電解コンデンサ構造が見られます。

 

実装部品は、正しく接合されていないと正常に動作しないため確認が必要です。

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断面観察例-8 ダイオードで、はんだ部と内部構造を観察

はんだ接合部に大きめのボイドが観察されました。リードフレームの下など表面観察では隠れて見えない箇所でも断面観察ならボイド・クラックの有無が確認できます。また、部品内部の素子上には、銅(Cu)のワイヤがボンディングされているようです。1st ボンドの接合部に接続不良は確認されませんでした。

 

断面観察例-9 タンタルコンデンサで、はんだ部と内部構造を観察

はんだ接合部に接続不良は確認されませんでした。また、部品内部では、電極部とモールド材樹脂との間に隙間など剥離箇所は見受けられませんでしたが、電極部の一部にクラックが観察されています。

実装部品は、正しく接合されていないと正常に動作しないため確認が必要です。

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断面観察例-10 スルーホール実装品で、はんだ充填率を測定

スルーホールのはんだ充填率は、基板の厚さに対して、スルーホール内に充填されたはんだ量(高さ)の比率を求めるのが一般的です。下の画像の場合は、はんだ充填率100%でした。

はんだ内のボイドは、無いに越したことはありませんが、高抵抗値化するような巨大なボイドがある場合を除いて、特に問題はないとされています。ただし、微細なボイドでも近接して複数個存在すると、ボイド間がクラックで繋がることで破断に進展する可能性もあるため注意が必要です。リードピンの周辺に着目すると観察されることがあります。

その他、クラック率・面積率・ボイド率などの寸法測定も承ります

実装部品は、正しく接合されていないと正常に動作しないため確認が必要です。

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株式会社アイテス 品質技術部
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