私たちが普段使っている電子機器の部品には、Auめっきが施されたコネクタ端子があります。例えば携帯電話の充電端子やSDカード端子があり、頻繁に抜き差しして使用していることと思います。今回、コネクタ端子のめっき状態が使用により、どのようになっているのか断面より観察を行いました。
コネクタの抜き差し

図1 電子部品のコネクタ部
電子部品のコネクタ表面は、めっき処理されています。コネクタの抜き差しを複数回試行すると、端子同士の接触によりめっき表面にスジが生じます(図1)。
今回、スジなし箇所とスジの程度が異なる2箇所で断面試料を作製し、めっきの状態を確認しました(図2)。



図2 コネクタ表面の光学像(x200)と断面観察箇所
めっきの断面観察

図3 コネクタ断面のSEM像(上段 x7,000 、下段 x20,000)
断面の作製はトリプルイオンミリングポリッシャー(通称CP)を用いて行い、スジ箇所のめっき状態をSEMにて観察しました(図3)。
なお、コネクタのめっき多くは、下地のCuにNiめっきが施され、最表面にAuめっきが施された構造となっています。 [1]スジなし と比べると [2]スジA と [3]スジB は、めっき①の厚みが不均一であることがわかりました。これはコネクタの抜き差しによりめっき①が引きずられ、厚みが変化したためと思われます。
今回の観察では、めっき①が無くなっている様子は見られませんでしたが、めっき①が無くなり、めっき②が露出するとNiの酸化により接触不良が発生する恐れもあります。通信が悪くなった場合はコネクタ端子の不具合を疑ってみてもいいかもしれませんね。