長期の使用により破損したカニカンについて、断面から観察及び元素分析、超微小硬度測定を行った事例をご紹介致します。
破損したカニカンの観察
超微小硬度計による硬度比較
試験荷重10mN時の平均
硬度測定箇所
ビッカース硬度
押込み深さ
①破断側
24.91
1.189 μm
②Edge側
22.38
1.251 µm
破断部の方が若干硬い傾向にあり、脆い可能性が考えられます。
破断部の面分析結果と超微小硬度(低荷重)の関係
面分析
コントラストに若干の違い
(a) 暗い (b) 明るい
酸素量に違い
(a) 若干多い (b) 少ない
(a) 鉛が少なくアンチモンが若干多い
(b) 鉛が若干多くアンチモンが少ない
硬度測定結果
ビッカース硬度(試験荷重1mN時の平均)
(a)
(b)
平均
27.99
28.64
最大値
36.5
29.8
最小値
20.5
28.0
標準偏差
5.46
0.75
*押込み深さ 約0.32μm
(a),(b)で硬度の平均値は大きく変わりませんが、(a)では最大値と最小値に大きな差があり、標準偏差値も大きくなっています。
(a)の部分は酸素が若干多く検出されていることから、酸化している或いは空洞が存在することが考えられ、硬さが均一でないことを示しています。