電力変換素子として広く活用されているパワーデバイスのEOSによる故障箇所をOBIRCH解析で特定した後、FIB-SEMのSlice&View機能を用いて故障箇所の三次元像を再構築する事により、破壊された構造の全貌を観察してみました。
Slice&Viewと三次元再構築について
新規導入したFIB-SEM装置
Helios5UC(FEI製)のSlice&View機能(自動でFIB加工とSEM観察を交互に行う)を用いて、構造物の連続SEM画像を取得することができます。
ここで得られた像を三次元構築ソフト(Avizo)で、SEM画像間のパターンの位置ズレを補正し立体的に可視化できます。
OBIRCHにより特定した故障箇所の連続SEM観察と三次元再構築
サンプル:Si MOSFET (PKG)
不良モード:GD間EOS破壊
上記サンプルに対し、OBIRCH解析で特定した不良箇所を含むように、Si裏面側から連続SEM像の取得を行いました。
Helios5UC Slice&View条件
・撮影間隔:50nm・撮影枚数:130枚
弊社では基板裏面側からピンポイントで故障箇所に対して断面出しをする位置特定技術がございます。それとSlice&View機能を組み合わせることで不良状態を保持して異常部前後の情報を含めた連続SEM画像を取得することができます。
右図はOBIRCH信号近傍の連続SEM画像をAvizoにて3次元再構築した像です。下図は正面(青)、上面(緑)、側面(赤) におけるSEM像を示しています。故障箇所では、トレンチやメタルの溶融破壊が確認でき、側面からは奥行き方向での形状異常の様子が観察することができます。
一方向からの観察では分からない異常の全貌を確認することが出来ます。
アイテスでは不良を保持した状態で、異常部全体の情報を逃さず取得することが可能です。