GC-MSは、製品の残存溶剤、未反応有機物質など低分子有機物質の定性定量分析に利用されます。
それらはアウトガスとして他の構成材料や環境に影響を与えることがあるが、飛散の際に匂いを放つことが多いです。
本資料では、香りをキーワードとし、身近な線香を分析しその分子構造の特徴を他材料と比較考察しました。
分析サンプル
樹木から採れる代表的な香木としては、白檀(びゃくだん)・沈香(じんこう)・伽羅(きゃら)の3種があげられるが、今回は、線香と白檀にてデータを取得し比較しました。
熱脱着GC-MS(180℃)による香り成分の同定
線香と白檀のTIC重ね合わせ
白檀と同じ検出時間のピークを確認しました。
線香に白檀が香料として使用されていることを示しています。
検出した共通香り成分
データ解析、および他材料との比較考察
・線香/白檀は、アルデヒド基と脂肪族環状構造を特徴とし、ウッディーな香りは、主に脂肪族環状構造が起因であると推測します。
・全般的に水酸基(OH)、および二重結合を有することが特徴であるが、その分子間力により香りを持続させていることが示唆されます。
・スパイスは、エーテル結合を有し酸素Oの電子供与(正のメソメリー効果)によるベンゼン環内の電子密度向上、および、分極とπ/πスタッキングが、独特の香りと持続性を醸し出す所以であると推測します。
アイテスでは、香料から産業用製品のアウトガス成分分析、考察まで、幅広くご対応いたします。