ノートパソコン修理において、システムボード修理の次に多いのが、実は外装品パーツの交換になります。
今回は、その外装(筐体)について、紹介いたします。
まずはノートパソコン外装の呼称について
メーカーや修理業者によって、外装の呼び方はいくつかありますが、アイテスでは以下のように呼んでいます。
ボトムケースのことをベースカバー・ロアカバー、キーボードベゼルのことをパームレスト、LCDリアカバーのことをトップカバー、天板などと呼ぶ場合もあります。
ノートパソコンの外装の修理依頼について
外装の修理について、以下のような修理依頼をいただきます。
- ボトムケースとパームレストの破損
- キーボードベゼルの破損
- LCDベゼルの破損
上記写真でお分かりいただけるように、主にパソコンを落下させてしまったり、キーボードと液晶の間に物を挟んでしまったりしたことによって、破損につながっているケースが多いようです。
最近のパソコンの外装の傾向について
最近のパソコンの外装に見られる傾向として、ボトムケースのヒンジ部分の破損が増えています。
以前は比較的頑丈に作られていた部位ですが、軽量化やコストの削減などにより、補強板がなくなっている機種が増えているようです。
ヒンジ部分は2箇所ネジ止めされていて、1箇所は支柱がありますが、材質が非常に柔らかく、割れやすくなっています。
以前の機種では、取り付け部分は見えている2箇所と裏側に1箇所でネジ止めされていて、ヒンジの支柱が四角の中にきっちりと刺さるため、割れていることはほぼありませんでした。材質自体も異なり厚みもありました。しかし意外なことに、比較すると以前の方が軽量です。
全体的な強度も補強がなくなっており、面状になっているので持つとしなります。
一方こちらのボトムケースはしっかりと補強があり硬くてしなりにくくなっています。
このように機種によっては、性能は上がっていても、コスト削減によって以前より外装が壊れやすいことがあります。持ち運びされる方は、新しいパソコンを選ばれる時に、価格や性能以外にもこのような点を重視するのも良いかもしれません。
また最近のパソコンは、ネジが緩みやすい傾向にあります。修理依頼品の、ネジがきちんと留まっていないことがよくあります。特にエントリーマシン(ローエンドマシン)などはネジ緩みがひどく、以下の写真のように、キーボードベゼルとボトムケースに隙間ができている場合があります。初期段階で気づけばネジを増し締めするだけで済みますが、悪化すると中でヒンジが暴れてしまい、キーボードベゼルやボトムケースを壊してしまいます。液晶を開け閉めされる際に違和感がある、横から見ると隙間ができているなどという場合は、裏側のネジを確認した方が良いかと思われます。
デスクトップの外装の修理依頼について
デスクトップについては外装が金属でできているため、ほとんど壊れることはありません。ただし正面の電源スイッチや光学ドライブなどがある側は樹脂製になっている場合が多く、その部分に衝撃を与えると、破損する場合があります。また電源スイッチ自体がここについている機種もあるため、電源が入りにくい等の不具合もこれに起因することがあります。
外装の部材の在庫状況について
アイテスにはLenovo製のThinkPad、ThinkCentreについては、大方の外装部品の在庫があります。
それ以外のメーカーにつきましては、リピートで修理をいただく機種のみ在庫を所持している状況です。
中古品の部材でも了承をいただける場合には、中古品で対応をする場合もあります。
(その場合につきましては、お見積りの際に『中古品』である旨を明記します)
また新品の部材でも保管している間に傷がついてしまった時は、アウトレット品として対応をする場合もあります。
最後に・・・
ノートパソコンは、しなりやすい機種もあります。パソコンを持ち運ぶ際に負荷をかけないよう、片手で持ったりせずに両手でしっかり持つことが重要です。また、ネジがゆるみやすい機種もあります。時々ネジを確認することで、外装破損を減らせるのではないかと思います。
修理のノウハウを惜しみなくお伝えする本企画『明日から修理屋さん』いかがでしたでしょうか。
次回は入門⑪『パソコンのSSD編』をお伝えいたします。お楽しみに!!