酸化物やケイ酸塩の化学結合状態(イオン価、結晶構造、配位数)の異なりから、特性X線ピーク波長に変化(シフトや波形)が生じることを利用し、標準スペクトルと比較することで結合状態を推定します。
装置仕様・性能
日本電子(株)製 Jeol-8200
分析方式
:波長分散型X線分析(WDX)
分析可能元素
:B~U
エネルギー分解能
:20 eV(EDXは約130 eV)
検出限界
:0.01 %~
最大試料寸法
:100 x 100mm
銅表面上の酸化物
2種類の銅酸化物の識別において、黒色CuOと赤色Cu2Oの色彩による識別が困難な場合、特に電子顕微鏡が必要なミクロな対象物に対して、EPMAによる酸化状態の把握が可能です。
CuO とCu2O の標準O Kα 線スペクトル
測定物:純Cu板(長期大気暴露)
長期間保管されていた純銅の表面は酸化され、CuOのスペクトル形状と良く合致し、さらに波形分離を行うことで、CuOとCu2Oの存在比率は、9:1とわかった。
アルミ基材の酸化物
Al表面の薄い酸化層の測定には最表面分析手法のXPSが有効ですが、異物等の微小物や塊状物、バルク、複合材等に対して、EPMAによる酸化状態の把握が可能です。
Al と Al2O3 の標準Al Kβ 線スペクトル
測定物:純Al板(長期大気暴露)
Al板最表面の酸化層は薄いため識別が困難であるが、内部は酸化されていないことがわかった。