ポリウレタンゴムの動的粘弾性測定 DMAは高分子材料に周期的な振動荷重を与え、生じる応力と位相差から、弾性や粘性を温度の関数として測定する分析です。荷重の与え方としては、引張、圧縮、両持ち梁曲げ、自由支持3点曲げ、せん断(ずり)があり、材料の形状、用途に応じて適切なものを選択し、測定を行います。今回は円柱状のポリウレタンゴムの圧縮モードでの測定事例を紹介します。 DMA測定概要 図1のように、試料を設置し、周期的な振動荷重を与え、温度を変化させながら、応力と変位量を計測し、貯蔵弾性率E’、損失弾性率E”を計測します。E”/E’の比が損失正接(tanδ)となり、振動の吸収性を反映したバロメーターとなります。今回は円柱状のゴム試料を用いて、圧縮モードで測定を行いました。 貯蔵弾性率(E‘) : 弾性特性を反映損失弾性率(E’’): 粘性特性を反映損失正接(tanδ=E’‘/E’):振動吸収性を反映 図1 装置、試料設置の概略図(圧縮モード)、及び試料写真 ポリウレタンゴムの圧縮モードでの測定結果 直径15mm、厚さ6mmの70°ポリウレタンゴムに1Hzの周期で振動荷重を与えながら、-80℃~80℃まで変化させ、DMA測定を行いました。E’、E”、tan δの温度分散曲線を図2、図3に示します。Tan δの温度分散曲線より、-15.7℃にガラス転移温度を有していることを示しています。 時間―温度換算則によるマスターカーブの作成 温度分散曲線を0.1Hz、0.2Hz、0.5Hz、1Hz、10Hzで測定し、時間-温度換算則を用いて、70°ポリウレタンゴムのマスターカーブを作成しました(図4~6)。 今回紹介した圧縮モード以外の引張、せん断、曲げモードにおいても、同様にマスターカーブの作成が可能です。 お問い合わせはこちらから 株式会社アイテス 品質技術部 TEL:077-599-5020 メールでのお問い合わせはこちらから