正極活物質の粒径は、リチウムイオン電池や全固体電池の作製において重要な管理項目となっております。
今回は、レーザー回折による正極活物質の粒径測定の事例を紹介します。
レーザー回折による粒径測定の原理
気中または液中で、粒子にレーザー光を照射し、粒子により散乱される光の強度の角度依存性を測定します。
図1に示すように、大きい粒子の場合、レーザー光に対して小さい角度に強い光が散乱されます。
一方、小さな粒子の場合は、光が散乱する角度は大きくなります。
散乱光強度の角度依存性を測定し、その測定データから粒子径分布(粒度分布)が算出されます。
算出される粒子径は、粒子を完全な球状と仮定した場合の数値となります。

NMC酸化物の粒径測定結果
図2に、ニッケルマンガンコバルト酸化物(NMC酸化物)のリチウム塩の粒度分布測定結果を示します。
試料は、市販の試薬を使用しました。
また、試料は溶媒に分散させず、乾式で測定を行いました。粒子径が数十μm以下の単分散状態となっており、メジアン径は12μmと算出されました。
(メジアン径 = 積算分布50%となる粒径)

SEM観察結果
測定に使用した粒子のSEM写真を図3、図4に示します。概ね10μm程度の粒子で構成されており、レーザー回折での測定結果に矛盾しない結果となっております。


乾式での測定結果を紹介しましたが、水など溶媒に粒子を分散させ、粒径測定を行うことも可能です。