樹脂製品の主成分は樹脂であり有機物ですが、機能性を付与するために様々な無機物が添加されていることがあります。今回はFT-IRとSEM-EDXを用いて有機・無機複合材の分析を行った例を紹介します。
FT-IRを用いる有機物分析
ペットボトルラベル表面の光沢がある部分と無い部分におけるFT-IR測定を行いました。
光沢部分と光沢の無い部分ではIRスペクトルが異なりました。光沢の無い部分はアクリル樹脂のスペクトルと類似することから主成分としてはアクリル樹脂であると考えられます(光沢部分の主成分はPET樹脂)。ただし、アクリル樹脂のスペクトルには見られないピークも観察されました。
SEM-EDXによる無機物分析
光沢がある部分と無い部分におけるSEM-EDX測定を行い、EDXスペクトルと反射電子像を得ました。
光沢の無い部分は光沢部分と異なり硫黄(S)、バリウム(Ba)が検出されました。反射電子像から、光沢の無い部分には比較的重い元素から成る、数μm程度の大きさの粒子が全面に存在していることがわかりました(元素マッピングからこの粒子は硫酸バリウム(BaSO4)であることもわかりました)。
FT-IRなどの有機物分析に適した手法と、SEM-EDXなどの無機物分析に適した手法を組み合わせることによって有機・無機複合材の正確な組成を得ることが出来ます。