顕微FT-IRイメージング測定では物質の分布状態を二次元画像として可視化出来ます。どのように測定を行っているのか、また、どのような分析を行う際に適しているかを紹介します。
FT-IRイメージング測定の方法とイメージング測定に適した分析
イメージング測定の手順
①イメージング測定を行う範囲を決める。
(ここでは赤枠1000 µm×1000 µm範囲)

②アパーチャ径とステップ幅を決めてから
①で指定した範囲を測定する。
・アパーチャ径…1回あたりの測定範囲
(ここでは赤破線100 µm×100 µm)
・ステップ幅…測定点の間隔
(ここでは1から順番に100 µmずつ移動して100箇所を測定)

③得られたスペクトルからイメージング像を描く際に基準とするピークを選ぶ。
(ここでは印字部分のスペクトルに見られるC=O基由来のピークを選択)


④選択したピークの高さや面積などを基準にしてイメージング像を描く。
(ここではC=O基由来の1727 cm–1のピーク高さ値を基準として設定)
→C=O基を有する物質がどこにどの程度分布しているのかがわかる。

イメージング測定に適した分析
指定した面内において物質の分布状態を可視化出来るため、以下のような分析に適しています。
・物質の拡散状態の評価
(混合物における物質の混ざり具合、不純物の存在する箇所の評価など)
・分子構造変化の評価
(樹脂製品における表面から内部にかけての酸化度合の評価など)
・サンプリングが難しい微小異物の定性分析
顕微FT-IRイメージング測定を行うことによって、通常の点測定だけでは難しいような
物質の分布状態の変化の様子を可視画像にて評価することが可能になります。