製品の構成材料や梱包材、緩衝材などに溶剤や低分子有機物質、未反応物質が残存するとそれらがアウトガスとして、拡散、または構成素材に浸透し製品寿命や特性、および環境人体に影響を与える場合があります。
残存する微量な物質の定性分析、定量分析にはGCMSのヘッドスペース法が有効となります。
本資料では液晶パネルに使用される偏光板のアウトガス成分を定性分析した事例をご紹介します。
ヘッドスペースGC-MS分析法
ヘッドスペースGC-MS分析法では、バイアルに封入したサンプルを任意の温度・時間で加熱し、バイアル内に発生した気体をGC-MS装置に導入します。

装置、および仕様
GC-MS本体
GCMS-QP2020 NX(島津製作所社製)
ヘッドスペースサンプラ (HS)
HS-20(島津製作所社製)
仕様
検出下限
数 ppm (測定対象により様々)
ヘッドスペース
40 ~ 300℃
試料サイズ
13mm×40mm以下
試料状態
液体 固体
液晶パネルの偏光板のアウトガス成分分析
偏光板からサンプル片を採取し分析したTIC、および検出有機物結果を以下に示します。

偏光板

偏光板構成材(断面イメージ図)

検出化合物
TIC No.
化合物名
分子構造
bp. (℃)
1
アセトン

56.5
2
ジクロロメタン

40
3
酢酸エチル

77.1
4
1-ブタノール

118
5
トルエン

110
6
2-エチルヘキシルアクリレート

213
分析結果から、偏光板内部には有機溶剤や未反応/過剰成分が残存していると思われます。
アウトガスとして環境や人体に影響を与え、そして構成素材に対し膨潤、溶解、異種材界面剥離などによる物性低下を招く可能性があります。
アウトガス、残存成分の確認、および品質でお困りの際は、お気軽にご相談ください!