プラスチックなど樹脂の分子量は一つではなく、複数の分子量で構成されています。この分子量および分布を把握することで樹脂の特性や劣化などメカニズム理論の理解に繋がります。本資料では、常温で溶剤に溶解しにくいポリオレフィン系の測定に相応しい高温GPC装置にて、ポリプロピレン樹脂(PP)で紫外線(UV)照射有無の試料を測定しデータ解析を行った事例をご紹介いたします。
高温SECの装置構成と原理
装置構成

分離原理
カラム内には無数の細孔を持つ充填剤が存在。
サイズの小さい分子は細孔に侵入するので、分子の溶出が遅れる。
解析の流れ

分析事例 UV照射を行ったPPの分子量測定
・PS換算の相対分子量分布

・各試料の平均分子量

・Mn(=数平均分子量)・・・ポリマー1本当たりの平均分子量
・Mw(=重量平均分子量) ・・・物性を反映した平均分子量
・Mw/Mn(=多分散度)・・・分布の広さを示す値
UV照射品の方が分子量が減少して、分布の広さが狭くなっていることを確認した。
(※裁断による分子量の減少と、UV照射面積の拡大に伴う劣化促進が影響)
活用例
・原料ロットの違いによる分子量やそのバラツキの評価
・外的環境(UV、薬品)による分子量の評価(←本試験はこちら)
高温SECの仕様と留意点
・仕様
溶解温度:140℃
使用溶媒:オルトジクロロベンゼン
較正曲線用PS標準試料:約2,300~約2,300,000
・測定に適する試料
試料:常温で溶解せず、耐熱性のある樹脂
(酸・アルカリ・ハロゲン系含有は対応不可)
測定に必要な試料量:5mg以上/測定
その他、分析装置でもポリマーの分析評価にご対応いたします。
DSC・TMAによる物性値の評価、FT-IR・ラマン分光・GC-MSによる構造解析