高分子の分子構造はその特性に影響を与え、高分子製品の物性に影響します。
高分子鎖が集合してつくる高次構造を分析的手法により評価してみました。
ラマン分光分析による高分子高次構造の評価
ラマン分光分析は高分子を含む分子の結合を見る手法です。高分子の結晶化や密度によって、分子の結合に由来するピーク半値幅が変化することが知られています。(ピーク半値幅減=結晶化増、密度増)
折り曲げたPETの内外を未変形の状態と比較し、ラマンピークの半値幅の差異を調べました。
折り曲げPETラマンスペクトル比較
解析前
解析後*
*ガウス関数近似により 分解能を向上
スペクトルを詳細に解析すると、曲げなし部に比べ曲げ部ではC=Oのピーク半値幅が小さい事が分かりました。
半値幅(cm-1)
未変形
0.664
曲げ外部
0.660
曲げ内部
0.657
高分子鎖の構造変化
折り曲げにより曲げの外側、内側では高分子の構造に以下のような変化が起こったと考えられます。
曲げ外
高分子鎖が引き揃えられ、ポリマー構造中の結晶部の配向が起きたと考えられます。
曲げ内
高分子鎖が凝集し、分子密度が高くなったと考えられます。
ラマン分析は高分子構造についての解析にも有効です