通常の熱分解GCMSでは試料を加熱し揮発した成分を検出しますが、加熱では揮発しない成分や検出感度の低い成分の分析は困難です。
試料に特殊な試薬を添加し、加熱することで通常では検出困難な物質の検出が可能になります。
事例① フタル酸エステル(DIDP)の分析
フタル酸エステル類には沸点の高いものも多く、そのまま分析を行っても検出が困難であったり他の熱分解生成物によって同定が難しいものもあります。
フタル酸エステルにメチル化試薬を添加し加熱することで、エステル結合部分が切断・メチル化され、低沸点化合物として感度良く検出されます。
事例② ポリマー(ポリエチレンテレフタレート)の分析
ポリマーを熱分解すると非常に多くの熱分解生成物が検出され、試料によっては他の添加剤とピークが重なってしまい解析が困難になります。
反応熱分解GCMSを行うことでモノマーのメチルエステルを検出でき、また添加剤と切り分けて解析を行うことが可能です。
事例③ 銅防錆剤(BTA)の分析
銅の防錆剤として使用されるBTAは、そのままでは検出感度が低く分析が困難です。
BTAに試薬を添加し反応熱分解GCMSを行うことで、変性したBTAを感度良く検出することができます。
このように、反応熱分解GCMSでは、通常の分析では検出が難しい対象物であっても、
適切な試薬を選択することにより、感度良く検出することが可能になります。