アイテスでは今年度新たに顕微FT-IRを追加導入しました。導入した顕微FT-IRの仕様、および顕微FT-IR測定における基本的な3つの測定法の特徴を紹介します。
顕微FT-IRの仕様
装置:顕微FT-IR
Thermo Fisher SCIENTIFIC社製 Nicolet iN10MX
測定法:透過・反射・ATR法
(ATR法:Attenuated Total Reflection(減衰全反射法))
検出器:DTGS、MCT-A、リニアアレイMCT-A(イメージング)
測定波数:7800~450 cm–1
※測定法、検出器によって異なる。
試料ステージ:幅 127 mm × 奥行 70 mm × 高さ 約20 mm
FT-IRと光学顕微鏡を組み合わせた顕微FT-IRではアパーチャ(視野絞り)によって通常のFT-IRでは測定困難な数十µm程度の微小物質も測定することが出来ます。
各測定法の特徴
顕微FT-IRには大きく分けて『透過法』『反射法』『ATR法』の3つの測定法があります。
試料に赤外光を照射し、透過した光を測定する。
赤外光が透過した厚み分の情報が得られる。
長所:反射法やATR法に比べて得られる情報が多い。
短所:光が透過しない試料は測定出来ない。
サンプリングや前処理が必要になることが多い。
試料に赤外光を照射し、反射した光を測定する。
試料の極表面の情報が得られる。
※金属板上の薄膜試料等は透過した厚み分の情報が得られる。
長所:非破壊・非接触にて測定出来る。
短所:反射率の低い試料は測定出来ない。
試料にクリスタルを通して赤外光を照射し、クリスタル界面にて試料へわずかに潜り込んで出てきた光を測定する。
赤外光が潜り込んだ試料表層数µm程度の情報が得られる。
長所:サンプリングや前処理を必要としないことが多い。
液体や粉体など試料の形状によらず測定出来る。
短所:クリスタルが密着しない試料は測定が出来ない。
顕微FT-IR測定において透過法が最も基本的な測定法ですが、試料の形状やサンプリングの可否などによっては反射法やATR法が適していることもあります。