素材は、使用環境によって変質変色します。それにより製品の性能や意匠性に問題が生じる場合がありますが、化学分析により製品の性能や意匠性に問題が生じるが化学分析によりその分子構造の変化を把握解明することで、問題の対策や回避が可能となります。
本資料では、表面分析による元素および結合状態分析で比較検証した事例をご紹介します。
分析サンプル
処理なし、信頼性試験(85℃ 85% 336時間)、UV照射(225nm 336時間)の3条件を振ったポリカーボネート(PC)、塩化ビニール(PVC)のシートを使用しました。
素材
比重
引張強度(Mpa)
引張伸び(%)
荷重たわみ温度(℃)
吸水率(%)
用途例
ポリカーボネート(PC)
1.2
62
100
132
0.15
コネクター CD ヘッドランプ 防弾ガラス など
塩化ビニール(PVC)
1.45
58
150
75
ND
パイプ ホース 電線 排水管 包装用フィルム など
XPS(ESCA)による元素分析結果
信頼性試験(85℃ 85%)、およびUV照射後は、酸素Oの割合が増加しておりこれは、酸化劣化を意味します。
(unit:atm%)
検出元素
O
Sn
N
C
S
Cl
Si
ポリカーボネート
処理なし
14.91
-
0.74
84.35
-
-
-
ポリカーボネート
85℃ 85% 信頼性試験
18.35
-
-
77.08
-
-
4.57
ポリカーボネート
UV照射
22.57
-
2.79
74.64
-
-
-
塩化ビニール
処理なし
5.53
-
-
78.31
-
16.16
-
塩化ビニール
85℃ 85% 信頼性試験
21.90
2.46
-
63.23
1.72
6.27
4.42
塩化ビニール
UV照射
9.71
-
3.04
78.93
-
8.32
-
XPS(ESCA)による結合状態分析結果(ポリカーボネート)
信頼性試験(85℃ 85%)、およびUV照射後は、ケトン基(C=O)が増加し、これは酸化劣化を意味します。
XPS(ESCA)による結合状態分析結果(塩化ビニール)
信頼性試験(85℃85%)、およびUV照射後は、エーテル(O-C)ケトン基(C=O)の比が変化し変質を示します。