DSC(示差走査熱量分析)

DSC(示差走査熱量分析)は試料の温度変化によって発生した基準物質との温度差から、
熱量差を求め、試料の吸熱/発熱の度合いを観察する分析手法です。

装置概要(熱流束DSC)

・試料と基準物質をそれぞれ容器に入れ加熱又は冷却

・ヒートシンク→熱抵抗体→ホルダーを通じて熱を伝達し試料と基準物質に熱を加える。

・試料に発熱や吸熱が生じると試料温度と基準物質温度に差が生じる。この温度差は熱流差に比例することから両者の熱流差により発熱や吸熱の量を測定することができる。

DSC分析により得られる情報

DSCデータの例(樹脂材料)

【分析事例】

①熱硬化性樹脂のガラス転移温度

測定による硬化度相対的評価

②熱可塑性樹脂の結晶化度測定

③比熱容量測定

測定可能条件(ご相談ください)

温度範囲 : -90℃~550℃

必要サンプル量:5~10mg

サンプル形状:フィルム、粉末、バルク

 

DSC(示差走査熱量分析)の測定事例

ポリエチレン(PE)はその側鎖分岐の長さや数によって、幾つかの種類があり、材料特性が異なります。結晶性高分子であるポリエチレンの融解ピークから、DSCにて融点及び結晶化度を測定し比較を行いました。

LDPE
(低密度ポリエチレン)

剛性が低く、柔軟性が高い

LLDPE
(直鎖低密度ポリエチレン)

LDPEより強靭だが加工性は劣る

HDPE
(高密度ポリエチレン)

剛性が高く、引張、衝撃強さ、
硬さに優れる

長い側鎖が多く、分子鎖が密になり難いLDPEは融点が低く、結晶化度も低い結果でした。一方、側鎖が少なく、分子鎖が密になりやすいHDPEは、融点、結晶化度共に高い値を示しました。また、側鎖が多いものの、比較的短くLDPEより密になりやすいLLDPEは融点、結晶化度共にLDPEとHDPEの中間的な値を示しました。

DSCによるポリマーの熱特性の比較から材料の種類の判別を行ったり、ポリマー分子鎖の状態を推定し、材料特性に与える影響を考察することが可能です。

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株式会社アイテス 品質技術部
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