プラスチック(樹脂)素材は、使用環境により変色、変質する場合があります。透明素材は、その透明性、高い透過率が価値ある特性となりますが、劣化変質によりその特性が低下することで、素材としての機能を失います。恒温恒湿試験前後の曇価(ヘーズ)測定、IR分析で素材の特性、分子構造変化が把握できます。
信頼性試験装置例(恒温恒湿試験装置)
恒温恒湿試験で、製品、素材などに温度と湿度の負荷をかけることで、物性、特性、外観などの変化を確認することができます。
装置種、およびスペック
タイプ
内法
温度範囲
湿度範囲
通常
W 600 ⅹ H 850 x D 750 mm
-20 ,-40 ~ 100 ℃
20 ~ 98 %RH
通常
W 1,000 ⅹ H 1,000 x D 750 mm
-20 ,-40 ~ 100 ℃
20 ~ 98 %RH
[超低温槽]
W 600 ⅹ H 850 x D 550 mm
-70 ~ 150 ℃
20 ~ 98 %RH
[超低温槽]
W 1,000 ⅹ H 1,000 x D 750 mm
-70 ~ 150 ℃
20 ~ 98 %RH
曇価(ヘーズ)測定結果
ヘーズ(HAZE)は、曇価や濁度などと呼ばれ、透明物質の曇り度合いや光の拡散度合いを表す指標です。平行成分P.Tと拡散成分全てを含めた全光線透過率T.Tと平行成分を除いた拡散透過率DIFの比で表されます。
①サンプル
- PET(ポリエチレンテレフタレート)
- 厚み:0.5mm
- サイズ:50mm角
②試験条件
- 温度:85℃
- 湿度:85%
- 時間:168時間
材料
T.T
HAZE
P.T
DIF
PET(試験前)
89.29
0.93
88.46
0.83
PET(試験後)
77.07
21.91
60.18
16.88
△(試験後-試験前)
-12.22
20.98
-28.28
16.05
*試験後、全光線透過率が低下し、ヘーズ値が増加している。
IR分析結果
IRにて、試験前後の分析を行った。IRでは有機物質の分子構造が把握でき、素材の特徴的なピークに変化が生じていることが、スペクトルデータから把握できます。
試験後のIR分析結果より、PETのエステル結合由来のカルボニル基、エーテル基のスペクトル強度が低下しており、PETのエステル結合部(-COO-)が、開裂していることが把握できます。
アイテスでは、信頼性試験から特性評価、および化学分析まで一貫対応いたします。