近年では、より詳しいデータを得る為に3Dによる構造解析を行う事も多くなってきました。代表的な3D
観察手法としてX線CTやFIBによるスライス断面の3D構築が挙げられますが、これらの手法は制約もあ
り、不得意としている領域があります。今回、それらを補う方法の一つとして、機械研磨による3D構築
手法を事例にてご紹介いたします。
X線CTとFIBスライス断面による3D構築のメリット・デメリット
X線CT

FIBスライス断面

X線CT
FIBスライス3D
方式
試料を回転させ360度の連続透視像を取得し、3D像を構築。
FIBスライス加工にて複数の断面を作製し都度、像を取得。複数の像を元に3D像を構築。
メリット
非破壊による3D化が可能。
数万倍まで拡大した像が得られ、
サブミクロンオーダーの3D化が可能。
デメリット
重金属や厚い試料はX線が透過できない為、撮影に向かない。
また、X線が透過し過ぎる軽元素系の材質や薄膜なども撮影困難。
FIB加工を行う為、非破壊では無い。
また、FIBの加工は数十μm程度と微小な領域となり、広範囲の観察は困難。

機械研磨によるセラミックコンデンサの3D構築事例

セラミックコンデンサは内部に薄膜の電極が積層された構造をしており、X線CTでは内部の電極は透けてしまって確認する事ができません。また、FIBスライス断面による3D構築は試料が数mmである為、局所的な確認に留まります。
機械研磨による3D構築手法は、X線CTとFIBスライス断面の不得意とする領域を補う形で3D構築が可能となる場合があります。

