断面イオンミリング(CP)加工時に発生する熱の影響

クロスセクションポリッシャー(通称:CP)法による断面作製では、機械的ダメージを作り込まず、平坦な断面を作製することができますが、加工中に熱が発生してしまいます。その熱は約100℃と言われており、材料によっては物性が変化し溶融や界面の剥離等が発生してしまいます。

今回、ゴルフボールの表面コート層にて断面作製方法の比較を行い、CP加工の熱の影響について観察を行いました。

ゴム製品の断面作製

分析例 ゴルフボール

ゴルフで使用するボールですが、内部構造は各メーカーで異なっており、様々な材料を組み合わせた、先端材料の塊となっています。手に持つと最表面は軟らかい感触がありました。中心はコアと呼ばれるゴムがあり、その周りをミッド層とカバー層が覆っています。カバー層のさらに最外層に2層のコート層があり、今回、このコート層で断面作製手法の比較を行いました。

ゴルフボール1
ゴルフボール2

断面作製手法の比較

3つの手法により作製した断面のSEM観察を実施しました。

ゴルフボールの最表面は軟材料が使用されています。機械研磨では材料界面で段差ができてしまい、平坦な断面にはなりません。通常であればCP加工に切り替えることで断面作製できることがほとんどですが、今回はフラットな断面とならず、段差やシワが入ってしまいました。

原因はCP加工時に発生する熱の影響により物性が変化したと考えられます。段差のないフラットな断面を作製するためには、試料を冷却しながら加工時に発生する熱の影響を抑えることができるクライオCPによる断面作製を実施する必要がありました。

機械研磨
CP
クライオCP(-50℃)

軟材料の断面作製には断面イオンミリング(CP)加工が有効です。しかしながら、CP加工時に

発生する加工熱の影響により物性が変化してしまうことがあります。そのような場合には、冷却により加工熱の影響を抑えたクライオCPによる断面作製が有効です。

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