ビャクダンの種類



図1)ビャクダンのおおよその産地
世界地図:
https://startoo.co/workbook/123746/#google_vignette
今回からは複数のビャクダンを使用して、その特徴を調査していこうと思います。
表1にピックアップしてみましたが、見ていただくとわかるように、“ビャクダン”は単一の種ではなく、各地に生息している複数の種を指していることが分かります。
(補足しますと、「Santalum(ビャクダン属)」は”ビャクダン”を意味するラテン語から名づけられています。その後ろで更に種を細かく区別しています。)
この内、最も人気があるビャクダンはインド産のSantalum albumと言われています。主にインド南部に生息しています。
その香りは世界で高く評価されており、約4000年前から人類に利用されていると言われております。
過去記事で日本での香木に関する歴史をご説明しましたが、それよりずっと、ずっと、ずーっと前からビャクダンが世界で使われていたことは驚きですね。びっくり!
なぜインド産は人気があるのでしょうか?
産地別 ビャクダンの成分分析


検出されたピークの内、代表的な香り成分を解析してみました。
ビャクダンの香りで重要とされるサンタロールはどちらからも確認できました(#b、g)。
表2-1にピーク面積比(%)をまとめてみましたが、インド産ビャクダンのサンタロール(α体+β体)は約90%を占めています。
オーストラリア産ビャクダンのサンタロール(α体+β体)は20%台と低く、ビサボロール(#c)やヌシフェロール(#h)の方が多い傾向にありました。
インド産ビャクダンの人気が高い理由
ビャクダン香を特徴付けるサンタロールは、インド産ビャクダンの方に多く存在していることがわかりました。
その含有量の多さが希少性を高める一つの理由であるかもしれません。
さらには、α体よりβ体のサンタロールの方がビャクダン香に重要であるという情報も報告されています(※1)。
そこで、α体とβ体の割合を比べてみました(表2-2)。
インド産ビャクダンの方がβ体の割合が高いことがわかりますので、この点も人気が高い理由としてあげることができるでしょう。

ビャクダンの流通状況


インド産ビャクダンの人気が高い理由についてご説明いたしましたが、いかがでしたでしょうか。
残念なことに、その需要の高さから、インド産ビャクダンの伐採が過剰に進んでしまい、絶滅の危機に瀕してしまいました。
その後、インド政府が輸入規制や伐採規制を設けたことで、オーストラリア産ビャクダンが世界中により流通するようになりました。
現在、市場に出回っているお香製品はさまざまな産地のビャクダンが使用されていることでしょう。
製品パッケージには、白檀の産地までは記載されていないことが多いので、それを調査する場合はGCMSを使うことで化学的に区別することが可能となります。
その場合は、是非当社にお問い合わせ下さい。
次回もお楽しみに!