トップ・メッセージ 2022年 年頭のご挨拶

代表取締役社長 五十嵐靖行
昨年後半は、コロナ感染も落ち着き、個人的にも外での会食の機会を久しぶりに楽しんでいた矢先、年末年始より変異株による感染の急拡大から、2022年は改めて感染対策に気を引き締めてのスタートとなりました。

昨年の動き

さてこの一年を振り返ってみますと、昨年の年初め、世の中はコロナ対応2年目に入り、コロナと闘いながらもビジネスを進めていこうとする動きが活発化し始めていました。国内では第3波、第4波を経験し、8月後半の第5波では一日で全国2万5千人を超える感染者を出しましたが、それでもワクチン接種も進み、コロナとの”付き合い方”を体得しながら多くの企業が息を吹き返し日に日に勢いが増してきたように感じられました。 おかげさまで、当社も在宅勤務、Web会議、Webセミナーの企画をはじめオンラインを活用したコミュニケーションが定着し、一昨年に比べ、昨年は業績を大きく回復しました。

現在の産業界の動き

一昨年秋の首相による「2050年カーボンニュートラル」宣言を旗印に、政府のまとめた産業政策”グリーン成長戦略”に基づき2021年はスタートしましたが、脱炭素とDX、SDGsやESG投資といった言葉が新聞紙上を毎日のように賑わし、国策に引きずられるように産業界という大きな「弾み車」がゴロリと動きだしたように感じました。国内では政府が、4月には温室効果ガス排出量を2030年には2013年比46%削減する目標を掲げ、10月に取りまとめられた第6次エネルギー基本計画では2030年の電源構成について、再生可能エネルギー比率を約36~38%に引き上げるとの目標設定がなされました。世界においても、10-11月のCOP26で気温上昇を1.5度に抑えることが長期目標として合意され、それに呼応するかのように、世界的に加速するEV(電気自動車)シフト、フレキシブルで軽量でありながら高効率、低コストで製造できるペロブスカイト型太陽電池の開発加熱、蓄電池産業戦略検討官民協議会(11月、経産省)の発足といった動きが見られました。時代は、確実にバブルのころのような大量消費するリニアエコノミー(線形経済)からサーキュラーエコノミー(循環経済)への転換を求めています。

一方、コロナ感染拡大や、米中摩擦も深く関係するといわれる世界的な半導体不足の深刻化に端を発して、経済安全保障、サプライチェーンの強靭化といった産業政策も強く叫ばれるようになりました。半導体はかつて「産業のコメ」ともてはやされ今でもハードウェアの世界ではテクノロジー・ドライバーであることは間違いありません。世界に目を向ければ既に5nmプロセスでの量産を開始している世界最先端を行く台湾の半導体メーカーは3nmプロセスの今年度中の量産化を目指し開発を加速させ、高速、高集積化に向けての飽くなき追求を続けています。高集積化の代表でもある半導体メモリについて90年代以降取り残されてしまった日本企業でも、パワー半導体においては世界上位10社の中に4社、名を連ねています。また画像処理半導体の一つであるイメージセンサーでも日本企業が世界市場で首位をキープし、自動運転には欠かせない車載半導体の主要な一角を担っています。同じく画像処理という点では、リアルさ、あるいはそれを超えてVR(仮想現実)、AR(拡張現実)の世界をより高度に実現する表示器(ディスプレイ)の技術としてLCD、有機ELに加えμLEDが新たな量産技術として加わろうとしています。

当社の向かう方向と重点事業

こうして見てくると、私共の深く関係する製造業やテクノロジー企業が今、進もうとしている方向には2つの大きな流れが見えてきます。一つは、現在の先端テクノロジーをさらに進化させる(高速、高密度、一括処理、リアルさ/VR/AR、軽薄短小化など)流れ、もうひとつは地球環境維持に貢献できる技術を追求する流れです。後者はその昔、1960年代、地球を生物と相互に関係し合いながら自己調節機能を持つひとつの生命体、ガイア(Gaia)と捉える仮説を唱えた人(*1)がいますが、そのガイアが今、悲鳴を上げている。その加害者でもある人類はガイアを救わないと自ら消滅してしまうという危機感から待ったなしの行動を求められている、という流れです。

これまで、当社は、国の掲げる14のグリーン成長戦略の3つの分野と深く関わっていると申し上げてきました。

1)半導体・情報通信産業

2)住宅・建築物産業/次世代型太陽光産業

3)資源循環関連産業

1)は先端テクノロジーの更なる進化を促進する産業として、また2)、3)は地球環境維持に貢献する産業としてとらえることができるわけで、当社は正にこの2つの潮流に沿った事業を展開しています。改めて、短い言葉で言い換えれば、当社は

“自律分散型社会の実現、サーキュラーエコノミー(循環経済)への転換を促進させるため次世代エネルギー技術の分野から社会に貢献する企業を目指します。”

具体的には
①先端テクノロジーの更なる進化を促進する事業 として

・ パワー半導体に関する解析・評価技術の更なる進化
・ 次世代パワー半導体、SiCのウェハ欠陥検査手法の確立と装置開発
・ パワー半導体テスター修理・保守業務の立ち上げ
・ ディスプレイに関する解析・評価技術の展開、欠陥解析装置の開発(LCD、有機EL、μLEDなど)
・ 半導体プロセスの受託加工、MEMSのファウンドリー、半導体ウェハの調達

② 地球環境維持に貢献する事業 として

・ 太陽光発電システムにおける故障パネル特定装置のラインアップ拡充(竣工時/日常点検、リユース市場)
・ 太陽光パネルの監視システムの市場投入
・ 電子機器の修理・保守、産業機器のリニューアル提案
・ 蓄電池関連産業への参入の検討(評価・解析技術、リユース/リサイクル)

を強力に推進していきます。

今年の展開

新年早々、嬉しいニュースが入ってきました。
当社の開発した住宅・低圧太陽光発電設備向け点検装置「eソラメンテ」が 一財)新エネルギー財団が主催する「令和3年度新エネ大賞」の最高賞である「経済産業大臣賞」を受賞しました。
リンク記事:「eソラメンテ」が新エネ大賞「経済産業大臣賞」を受賞
「eソラメンテ」は、独自のインピーダンス測定手法と電流検知技術により、効率的かつ正確にソーラーパネルの異常位置を検出する検査装置です。当社の次世代エネルギーの普及に向けた一つの取り組みを高く評価していただけたものと思います。これからもサーキュラーエコノミー社会への転換に向け、技術の分野から社会に貢献してまいります。

ところで、当社は今年の夏、事業所の移転を計画しています。 現在、本社、電子部品の解析・試験受託サービス事業を行っている滋賀県野洲市と太陽光発電用検査装置事業、電子機器保守・修理事業、ウェハ事業を行っている滋賀県栗東市に分散している3拠点を同じ滋賀県内の大津市栗林町の一か所に集約移転します。既に事業部を跨り協業しているプロジェクトが一部ありますが、長年の夢であった全事業部が一か所に集まることで、更なる効率化が図られます。加えて、4事業のもつ個々の知恵、知見を持ち寄り、そばにいて気軽に議論を交わすことで新たな連携事業を創出することを目指します。
2021年がコロナからのRECOVER(回復)の年だったとすれば、2022年は新たな一歩を踏み出す、RENEW(再スタート)する一年にしたいと考えています。 今年もよろしくお願い申し上げます。

2022年 一月吉日

五十嵐 靖行

*1)ガイアの理論: イギリスの科学者、ジェームズ・ラブロックが、1960年代、アメリカ航空宇宙局(NASA)に勤務していたときに提唱した仮説