トップ・メッセージ 2020年 年頭のご挨拶

2020年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

お客様への対応はスピード第一。
加えて、「回答」にとどめず、「解答」を提示せよ。
お客様が求めているのはレスポンスではなくアンサーである。

時代は常に動いています。
我々にとって今年の明るい材料と思われるもの、好機と捉えられるものとして、5Gの立ち上げに向けた投資の本格化とそれに伴う半導体の需要増、労働力不足+働き方改革推進の結果として企業の省力化投資の進むことや、5月の自動運転レベル3の解禁、夏の五輪までの景気拡大などが上げられますが、一方、米中貿易摩擦の先行き不透明、ポイント還元期間終了後の消費増税の影響、最悪と言われる日韓関係から跳ね返ってくる産業界への影響の有無、大規模自然災害発生の不安、そして五輪後の景気悪化、と心配事も尽きません。
そういった中で、もう少しグローバルな視点でここ数年の各国の動きを見てみるとエコノミック・ステイトクラフトというキーワードが浮かびあがってきます。日本では一般にはまだ馴染みの無い言葉であるため、2020年1月初時点で”エコノミック・ステイトクラフト”でネット検索しても2千~3千件くらいしかヒットしませんが、”economic statecraft”と英語で検索すると180万件を超えるヒット数、つまり3桁も多くヒットします。直訳すると、経済的国政術と訳されるようですが、軍事的な圧力ではなく経済的な手段によって他国に対して影響力を行使し、国家が自らの戦略的目標つまり国益を追求しようとする経済外交術を指します。米国の中国H社をはじめ特定のハイテク企業排除の政策を含む米中貿易摩擦、中国の一帯一路政策に基づく多くの発展途上国向け支援策などがその典型ですが、前記ヒット件数に象徴されるように多くの国々が自国の国益のため重要視している考え方と言って差し支えないと思います。懸念するのは、こういった動き、つまり各国が自国の国益最優先のため取った経済政策が、産業界の発展に大きなブレーキとして働かないか、ひいては我々のビジネスへの直接的なインパクトに発展しないか、という点です。従ってこういった動きから目を離すことはできません。

アイテスでは現在、3つの分野、①自動車・車載関連分野、②環境・エネルギー分野、そして③IoT 機器関連分野を重点領域と見据え、それぞれ
-自動車関連分野を主要ターゲットとした電子部品や材料に関する受託分析・解析・試験サービス
-再生可能エネルギーの中でも主要位置を占める太陽光発電に関して、太陽光パネルの不良を特定する検査装置の開発・販売
-製造現場のIoT化、活性化を側面から支援するメーカー保守対象外の電子機器全般の保守・修理サービス
に取り組んでいます。
昨年を振り返ってみますと、各々の分野への参入の深度、及び知名度は着実に上がってきていますが、ビジネス的にみると足踏み状態、まだ目標としているレベルに達していません。今年の第一目標は、これらの事業を骨太にし、大地にしっかり根を下ろす、つまり成長させ、安定軌道に乗せることです。

時代は常に動いています。
自動車業界は、100年に一度の変革期を迎えていると言われ、4月には次世代の車載半導体の研究および先行開発を行う新しい会社が設立されます。太陽光発電業界は二度目の転換期をを迎えています。一度目はFIT制度導入前後における大型家電から投資商品への転換でしたが今回、昨年の”卒FIT元年”を境として今度は投資商品から自家用電源として普及させる時代に入っていくという二度目の転換期に差し掛かっています。今年度の業界のキーワードは住宅用の更なる普及と法人向け自家消費型に向けての提案、及び4月からの発送電分離が促す業界再編です。また、業界を問わず製造現場においては、労働力不足、及び働き方改革推進の流れを汲んで生産性の更なる向上を目指し、企業の省力化の波とIoT化の流れは止めることができません。
こういった流れを正面から受け止めるために我々の取るべき行動は、お客様が本当に求めていることは何か?を常に真剣に考え、スピード感を持って答えを出していくことに尽きると思っています。そのためには、大きな組織活動のみならず、個々の日常的な活動においても定量的な目標を置き、それを達成するための具体的活動を明確にすること、即ち、5W1Hの視点に立ってP-D-C-Aサイクルを細かく回し、軌道修正しながら目標達成に向けて突き進む、これを当たり前のように繰り返し実行することです。

ところで昨年年初に、今後数年かけて、アイテスをパワー半導体の評価・解析の基地(ハブ、拠点)として成熟させ、日本のパワー半導体の評価・解析機関としての”顔”になる、との目標を掲げましたが、今年はこの方針をさらに深化、そして具現化するため3つの新たな取り組みを行います。
1つ目は、次世代パワー半導体の素材として期待され、既に市場にも出回り始めているSiC(シリコンカーバイド)についてその結晶欠陥に関する受託の解析サービスを立ち上げ、そのために使用する装置も自前で開発するというものです。
2つ目は、修理・保守事業を行っている部門がパワー半導体用の量産テスターの修理・保守業務を新たな業務フィールドとして取り込むこと。
そして3つ目は、パワー半導体を含め自動車・車載部品関連メーカーの国内の一大拠点である中部・東海地方に小規模ながら営業拠点を設けることです。
いずれも既にその準備を進めています。これらの取り組みには3つの部門がすべて何らかの関わりを持っており、今まで以上に3つの部門の協力体制が強固になるという点が重要であり、これらを実現することで、パワー半導体関連のお客様にはアイテスをさらに身近に感じていいただけるようになると期待しています。

以上の通り、今年度は現事業の足場を固めることと、パワー半導体関連事業についても新たな取り組みを開始し実績を残すことを念頭に事業を進めて参ります。多くのエコノミストや一部上場企業の経営者の方々が今年度の国内のGDPの実質成長率は0%台半ばにとどまり、昨年よりさらに減速するだろうと予想していますが、これはあくまでマクロ指標であり、もし自社の結果が出せなければすべて自己責任、それだけ自分たちは世の中に貢献できていない証しだと認識し、変えるべきを変え必要に応じてタイムリーに軌道修正しながら、社業発展のため全社一丸となって更なる飛躍を目指して参ります。

2020年1月 代表取締役社長

五十嵐 靖行