工業製品には様々な材料が使われており、例えばポリマーには、添加剤などの低分子成分とポリマーそのものである高分子成分が含まれます。GCMS分析では低分子成分は比較的低い温度で揮発する一方、高分子成分は高温で分解させてから分析する必要があります。ここでは錠剤の梱包に使われるPTP梱包シートのポリマー成分と添加剤成分を分析した例を紹介します。
発生ガス分析法（EGA-MS分析法）
発生ガス分析法(EGA-MS法)は、試料を昇温加熱させた際に発生するガスを質量分析計(MS)で検出します。分離カラムを通さない為成分の分離は出来ませんが、添加剤やポリマー成分の溶出温度に関する情報を得ることが出来ます。
発生ガス分析法
(EGA-MS分析法)
揮発成分はそのままMS部に導入される
熱脱着GC-MS分析法
熱分解GC-MS分析法
揮発成分はGC部で成分分離されMS部に導入される
PTP梱包シートの分析例
錠剤のPTP梱包シートについてEGA-MS分析、熱脱着・熱分解GC-MS分析を行いました。
GC-MS分析にて、PTP梱包シートに含まれる添加剤成分、ポリマー成分をそれぞれ区別して検出する事が出来ました。
EGA-MS分析を行う事で、目的や材料に応じた適切なGC-MS分析条件を決めることが出来ます。