いつもお世話になっております。アイテス品質技術部の清野でございます。
本資料では、いくつかの特集の中で、技術論文のような堅苦しさを極力抑えて材料および関連分析評価についてご紹介いたします。
さて、今回は異性体についてお話しますが身近なものですと「薬」、産業用途ですと「可塑剤(特にフタル酸エステル)」が挙げられます。これだけを聞いてもピンときませんが、薬ですと鍵と鍵穴で例えられることがよくあります。痛みの部分に痛みを引き出す物質、これが鍵となり鍵穴に填まることで痛みが出るのですが、この鍵となる物質によく似た分子構造の物質を先に鍵穴に填めることで痛みや症状が抑えられるという原理です。こういった分子構造の有機物を合成する際に副生成物が生成するケースもあるのですが、組成式、分子式が同じで分子構造や立体構造が違う物質同士を異性体と呼びます。
一見同じように見える有機物でもこの微妙な構造の違いで薬として機能するか否かが決まります。
可塑剤については、ご存知のように使用を控える必要のある化学物質が存在し、フタル酸エステルが思い浮かびます。エステル有する分子団がベンゼン環に結合する箇所によって規制の対象になったりならなかったりと。メタ(イソフタル)/パラ(テレフタル)位に結合する物質は規制対象にならないがオルト位に結合する物質は対象になったりと。オルト位は分子団が隣接するため、立体障害で不安定かと思いきや実は分子団の相互作用(水素結合、双極子モーメント、ファンデルワールス力)で安定し、そして油油する安定構造のベンゼン環が、その理由と原理になります。
これらの分子構造の把握にはNMRが有効で、創薬分野で活躍する装置となります。
これは、異性体の特定のみならず、液晶有機物の構造解析にも有効な手法となります。
NMRのスペクトル解析には、有機分野の知見が必須となり、また前処理にも精密な処理が必要となります。
異性体の分子団が極端に離れている場合や組成式が同じでまったく違う物質は、以下の手法でも解明が可能となります。
FT-IR ラマン GC-MS LC-MS TOF-SIMS
組成が類似でも結晶の状態が違う物質は、次の手法で視覚的に確認することも可能です。
XRD AFM(位相モード) SEM TEM-ED
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