ポリマーには安定性や加工性を向上させる為に様々な添加剤が使用されていますが、環境負荷や長期保管により添加剤成分がポリマー表面に析出したり(ブルーム/ブリード)、添加剤そのものが化学変化を起こし変色や劣化の原因となる事があります。
ここでは添加剤のブリードアウト、UV照射による添加剤成分の化学変化を熱脱着GC-MSにより分析した例を紹介します。
ニトリルゴムからブリードアウトした添加剤成分分析

ニトリルゴム製O-リング表面の析出物を採取し分析を行うと、可塑剤のフタル酸エステル類や老化防止剤が検出されました。ポリマー成分と添加剤成分の相溶性が悪い、また環境条件での分子運動によりこのようなブリードアウト現象が起きやすくなります。


UV照射したナイロン66の添加剤成分分析

ナイロン66製結束バンドのUV照射前後を比較すると、光安定剤がUV照射により分解生成物となって検出されました。ポリマーの代わりにUV負荷を受ける光安定剤が分解により減少すると、ポリマー主成分の劣化の進行が速まる事が考えられます。


添加剤成分はポリマー主成分に対して少量しか含まれませんが、熱脱着GC-MS分析により感度良く分析する事が可能です。信頼性試験や熱分析、主成分分析などと組み合わせた製品の劣化予測など、不具合症状や目的に合わせた手法を提案させて頂きますのでお気軽にお問い合わせください。