私たちが日々行っているパソコンのマザーボードの修理は、故障内容によって見方や進め方が多様に変化します。
例えば、
・モニター上に何らかのエラーメッセージや表示不良が発生する不具合
・画面がフリーズしてしまう
・機能上の不具合(音が出ない、ネットワークがつながらないなど)
といった場合は、ある程度チェックすべき範囲の狙いを定めることが出来ます。
ところが、「電源は入るけど画面が表示されない」といったような、いわゆる「BIOSが起動しない」という不具合の場合は少し厄介です。
何故なら画面に何も表示されないため、どこでどのような障害が発生しているのか目では見えないからです。
BIOSが起動しない時
BIOSとはBasic Input Output Systemの頭文字をとった略称で、バイオスと呼びます。
パソコンの各デバイス(キーボードなどのハードウェアの構成や画面、起動順位など)の制御のためのプログラムのことをいいます。マザーボードに組み込まれているBIOSは使用されるBIOSメーカーによっても異なるため種類も様々ですが、修理の場では比較的Phoenix BIOSやAMI(American Megatrends)BIOSなどが多く見られます。
Phoenix BIOS画面
American Megatrends BIOS画面
パソコンの電源を投入すると、マザーボードに組み込まれているBIOSはPOSTと呼ばれる自己診断テストを行っています。
POSTとは
さて、POST(ポスト)と言ってまず何を連想されますか?
中にはハガキ等を投函する郵便ポストを連想された方もおられるのではないでしょうか。ここでいうPOST(ポスト)とは、Power On Self Testのことをいいます。
先程も述べましたが、パソコンの電源を投入し画面表示されるまでの間も、マザーボードの内部ではPOSTと呼ばれる診断をしています。
中にはマザーボード上にLEDが搭載されPOSTコードを表示するものもあります。
右の写真はBIOSが起動しないマザーボードにPOSTカードを装着して電源を上げるとコード“45”で止まる不具合の例です。
このマザーボードのBIOSの種類から、POSTコード“45”がどういう診断でのエラーなのかを調べます。
POSTコードはBIOSの種類によって異なりますが、マザーボードに対応している場合には、表示されている2桁のコードからどの診断時にエラーが発生しているのかを知ることができます。
勿論、これらのPOSTカードが全てのメーカーのマザーボードに適応する訳ではありませんが、不具合箇所の特定のためのお助けツールとして私たちの日々の修理業務のサポートをしてくれる欠かせない存在なのです。