EBSD法の紹介

EBSD(電子線後方散乱回折:Electron Back Scattered Diffraction Pattern)法

試料の持つ結晶構造の情報を基に連続的に取り込んだパターンの結晶方位を算出することにより、結晶粒の方位分布、集合組織や結晶相分布を解析する手法です。

装置構成

(株)TSLソリューションズ OIM7.0 結晶方位解析装置(標準検出器)

右図がEBSD装置の構成です。SEMにCCDカメラが付加された構造になっています。傾斜した試料に電子線を照射すると、電子線が散乱します。この電子線が散乱する際に、結晶方位に応じたパターンが現れます。このパターンをCCDで検出し、解析することで、結晶系や結晶方位に関する情報を得ることが出来ます。

結晶方位について

金属やセラミック等の結晶質のものは、

立方体等の結晶格子が多数集まって構成されていると考えられます。

EBSDではそれがどの方向を向いているか(結晶方位)を解析します。

 

Al板の断面を機械研磨にて作製し、EBSDによる解析を実施しました。

左図のように、結晶粒により結晶方位が異なることが観察されます。

加工条件(圧延、押出等)の違いによる結晶方位や結晶粒径の変化が解析可能です。

マップ例

イメージクォリティー(IQ)マップ

結晶性の良し悪しを記すマップ。

EBSDパターンをHough変換(直線を点に変換する手法)した際のHough空間上のバンドを示すピークの強度をプロットしたもの。バンドが鮮明なほどパターンの発生領域の結晶性が良い。

逆極点図方位マップ(Inverse Pole FigureIPFマップ)

逆極点図を基にした結晶方位マップで、結晶面で定義されている。

各点の任意の方向(右図はND方向)と垂直になっている結晶面の面指数を求め、カラーキーにしたがって表示したもの。

結晶方位マップ(Crystal Direction マップ)

指定した試料方向に向いている指定した結晶方位の分布状況を示すマップで、結晶方位で定義されている。

右記は試料のND方向に<101>結晶方位が25°以内で配向している測定点を黒色にグラディエーションを付けて示した。

GRODマップ

(Grain Reference Orientation Deviation マップ)

一つの結晶粒内で、基準となる方位からどれだけ方位に差が生じているかを示すマップ。

結晶方位差を観察することで、結晶内の残留応力を推察することができる。

極点図・逆極点図

極点図

特定の結晶面(等価なすべての面を含む)に注目し、それらの面と試料座標系との関係を示したもの。極点図より、特定の結晶面が試料のどの方向を向いているかがわかる。

 

右図のように、試料に沿った座標系(試料座標系)を定義し、その座標系に対して注目した結晶面の法線方位(面方位)がどのようになっているかをステレオ投影法でプロットしたもの。

逆極点図

試料座標系の特定の方向に注目し、どの結晶面の法線方位がその方向に向いているかを示したもの。試料全体の配向性を把握するのに適した表示方法。

 

試料の指定方向を法線とする結晶面と等価な結晶面を、ステレオ投影図のUnit Triangleにプロットしたもの。

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