劇物フリーのエポキシ樹脂硬化温度について

エポキシ樹脂は透明度が高く、耐久性に優れ、硬化時の収縮率も低いため、断面作製によく使われる包埋樹脂です。従来使用していたエポキシ樹脂は、毒劇法の改定によって劇物指定となったアミン系硬化剤が含まれていて、健康リスクが高いこと、管理や取り扱い、廃棄処理が難しいことが問題視されるようになりました。そのため、弊社では劇物フリーのエポキシ樹脂に変更しています。変更に伴って、硬化時に発熱する温度についても再確認するため、測定を行いました。

温度プロファイルの取得 – 多量の樹脂(大型容器)で発熱防止処理なしの場合

多量に樹脂を使用する場合、アイテスでは、発熱防止処理を施して樹脂包埋をしていますが、発熱防止処理を施さないと、硬化中に138℃まで発熱しました。

※樹脂量が多いと、急激に発熱することで試料に多大なストレスが掛かる場合があります。

温度プロファイルの取得 - 多量の樹脂(大型容器)で発熱防止処理ありの場合

多量の樹脂でも発熱防止処理を施せば、硬化中の発熱を30℃以内に抑えることができました。

※大きめの試料でも、埋める前の切断なしでストレスを掛けずに樹脂包埋することが可能です。

包埋樹脂の選択について

早く解析を進めたい時や試料に負担を掛けたくない時など、包埋樹脂は状況に合わせて選択することができます。ポリエステル樹脂は収縮率が大きいためひび割れやボイドが発生しますが、短時間で硬化できます。アクリル樹脂は高い透明度があり加工しやすく、短時間で硬化も可能です。弊社使用の劇物フリーエポキシ樹脂は硬化時間は10時間前後と長いですが、耐熱性や耐久性に優れ、試料へのストレスも抑えられるため、包埋樹脂として最も適した樹脂と言えます。アイテスでは、サンプルの前処理方法等も、ご相談に乗ります。お気軽にお問い合わせください。

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株式会社アイテス 品質技術部
TEL:077-599-5020